誕生日の森井監督に捧げた(わけではない) 堀慎吾、至極の一打! 担当記者 ゆうせー【Mリーグ2023-24観戦記 2/1】

誕生日の森井監督に
捧げた(わけではない)
堀慎吾、至極の一打!

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2024年2月1日

第1試合

東家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ
南家:佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部
西家:二階堂瑠美EX風林火山
北家:鈴木優U-NEXT Pirates

KADOKAWAサクラナイツ 堀慎吾

堀の選択は、観る者を惹きつけてやまない。

少し話が逸れるが、私は、

「Mリーガーで真似をするとしたら、誰がいいですか?」

と聞かれたら、“堀慎吾”と答えている。

価値のある手を作ってアガリへ向かう鋭い攻撃手順。河からの読みによる押し引き。

これらを織り交ぜて戦う堀の雀風には、普遍的な強さがある。

そんな堀慎吾の選択のうち、まず、取り上げたいのは東3局

書いておいてなんなのだが、ちなみに、この局の一打は場況で選択が変わるものなので、「おっしゃ!真似しよう!!」と飛びつかずに、「この一局での選択」として読みをはじめとした思考過程を楽しんで欲しい。

下家の寿人からリーチが飛んできた場面で、

堀はチンイツ赤のポンテンをとっていた。

そこへ、

【7マン】を持ってきて選択だ。

立体図は、

このようになっている。

黄色の牌はツモ切りで、黒の牌は「どのタイミングで鳴かれたのか」を表している。

少々分かりにくいが、寿人が切った【9マン】は堀に鳴かれているので、【9マン】は場に「3枚見え」=「あと1枚ある」状態だ。

眉を寄せ、考えをまとめた堀は、

【8マン】を打った!!

【1マン】【4マン】かで悩んだ方が多いのではないだろうか。

【1マン】を切ると現物待ちの【3マン】【6マン】【9マン】【4マン】を切ると、【2マン】【5マン】【8マン】待ちだ。

しかし、これらには「【1マン】【4マン】を打たなければならない」という「めくり合いをするまでのリスク」が存在するのである。

しかも、寿人の河には【6マン】がポツンと切れている。こういった場合には、マンズは【3マン】を軸とした良形ターツがあることが多い。

【2マン】【3マン】【6マン】 【3マン】【4マン】【6マン】

これらの場合なら、【6マン】は切りやすい。なぜなら、前者は【5マン】、後者は【7マン】を引いたときに二度受けになるため、孤立牌としての価値は少し落ちるからだ。

よって、ブロック読みを入れると「マンズの下(数字の小さい方)は相当切りづらい」と考えることが出来る。

一方で、【6マン】がリーチ前にツモ切られていることから、マンズの上は通しやすくなっている。堀が【8マン】を選択したのは、こういった「切る牌の安全度」が大きいだろう。

また、「実は枚数にそれほど差がない」こともポイントだ。

堀が選択した、打【8マン】での【4マン】【7マン】待ちは残り5枚。

そして、【1マン】を切った【3マン】【6マン】【9マン】も残り5枚だ。いくら現物待ちになるとはいえ、それなら、先に述べたような「安全度の差」から【8マン】を切った方がいい。

一方で、【4マン】を切った【2マン】【5マン】【8マン】待ちは残り7枚。2枚差があるので、こちらは有力な選択肢だ。

ただ、先ほど述べたように「マンズがあるなら下が濃厚だ」という状況。

さらに、今回の手出しを追うと、【2ソウ】【5ピン】【8ピン】【8ピン】となってのリーチ。

【8ピン】のトイツ落としが入っているので、手役に絡まない限りは、ペンチャン待ちなどの愚形テンパイの可能性は低そうだ。

実際、寿人は【8ピン】空切りしたペン【7ピン】待ちのリーチだったが、ここでの空切りは「好形だろう」と読ませる意図があったのである。これもまた面白い。

話を戻すと、堀はそういった「好形率の高さ」や「マンズの下が濃い」ことを考慮して、「なるべく安全にめくり合いに持ち込もう」という意図で【8マン】を切ったのだろう。残り3枚ある【7マン】待ちも悪くない。

ちなみに、ルールこそ違えど、参考までに麻雀AIのNAGA解析は、

 

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