こんな感じになっている。が優勢だが、
守備型のガンマは打だ。
ラス回避ルールでのラス目のリーチなので、守備寄りの選択である打の評価は、Mリーグルールでは多少下げないといけないだろう。
ここで、牌の下にある緑の危険度バーに注目だ。の下の伸びが凄まじいことになっている。
実は、危険度バーと推奨打牌バーは「別個に出力している」説が有力である。私もおそらくそうだと思う。
なんせが危ないという見解が、堀とNAGA危険度システムで一致しているのは面白い。
私は、はナシ、はアリという考えだ。とは難しいが、枚数2枚差なら僅かにここは打がいいかと思う。やはり、を打たないで済むのは大きい。
ただ、これは寿人をはじめ、河があっての判断だ。全く別の盤面なら、単純枚数で打を選ぶ場面も多いだろう。そういった意味で「この局はそのまま真似はしないで」とはじめに述べたのである。
話が長くなったが、なんせ見ている方は「えっ! なの??!!」と思った方が多かっただろうと感じたので、詳しく取り上げた次第である。という選択肢は、少なくとも「十分にアリ」だ。
結局、チンイツは成就せずに流局となったが、クレバーな「第三の選択」であった。
似たような、
「まず通さなくてはいけない牌の安全度」
を考慮した局として、東4局が挙げられる。
を鳴いている堀は、優の親リーチ一発目に、
を引いてきて、
ツモ切った!
が2枚切れなので、による打点と「切る牌の安全度」をとった形だ。
これをツモアガってトップに立った堀。
オーラスに、「至極の一打」が飛び出した。
上家のリーチを受けて、七対子イーシャンテンだった堀は、
を抜いてイーシャンテンを崩した!
狙いは、
ホンイツ模様の下家、寿人に鳴いてもらうことだ。
3や7の牌は急所になりやすい。しかも、は堀の目から3枚見え。
合わせ打ちとなるので、ロンとは言われない。ならば、このタイミングで切ることによって、3着目の親である優と2着目の寿人が戦ってくれることを「誘う一打」だ。
自分の手は七対子で、どのみちリーチに立ち向かうのは厳しいのもある。
ちなみに、NAGAにかけると、
このような判定をされる。自分の手を組むことを中心としているからだが、もちろんこのような「アシスト」や「読み」はNAGAの苦手分野だ。
どうしてこの記事で、「選手の打牌と異なる結果が出たNAGA解析」を複数紹介したのかと言うと、最近は「NAGA解析の悪手率=強さの基準」とされている風潮があるからだ。
私自身は、NAGAをリリースからずっと使っていて、通算2000半荘以上解析にかけているが、悪手率をはじめとして数値はあくまでも「参考」とすべきであると考える。NAGAは有用で面白いツールだが、「神」でも「正解」でもない。
特にMリーグに当てはめる場合は、そもそもルールが違う。さらに、NAGAにも各タイプそれぞれ長所と短所がある。例えば、河のない平面判断は強いが、今取り上げたような「アシスト」や、他では「危険牌を先に逃がす」ような手を崩しての判断は苦手分野だ。
悪手率という数字だけがひとり歩きすることなく、一打一打の内容をしっかり見ていくことが大事だと私は考える。麻雀の戦術自体、まだまだ未開拓なのだから。
さて、堀はを切ったわけだが、
「チー」
堀の思惑通りに寿人が仕掛け、
寿人がアッサリとをツモアガリ。
これもまたクレバーな選択で、堀はトップを獲得した。
堀は、これで今季8勝目。21戦で252.4のプラスを持ち帰る大活躍だ。
インタビューでは、この日実況席に「森井監督の誕生日について絶対に言うな」と釘をさしていたことについて、話を振られると、
「監督のために頑張ろう、なんてことは全くなくて、僕が勝つと『森井さんのBIRTHDAY!』みたいにツイッターに出るのが嫌で…」
と、説明していた。「堀節」炸裂である。
さて、サクラナイツは1戦目に勝つと「連投権」が与えられるのが恒例となっている。
この日も、堀が続けて出るかと思われたが、
「好調な選手が多い中、僕ばかり打つのも何なので、難波ちゃん(渋川選手)に託そうかなと」
と、話していた。
麻雀を打つことに積極的な堀が、他の選手に譲るのは珍しい。