“軍師”勝又健志の奮闘 真冬の風林火山城防衛戦【Mリーグ2023-24観戦記 2/1】担当記者 #後藤哲冶

軍師勝又の選択の先に――

東方の神風が吹いた。

最後方から全員を差しきる値千金のツモ。
裏ドラこそ乗らなかったものの、2000、4000のツモアガリで、３着目に浮上。

そしてここから、風向きが変わった軍師勝又が躍動する。

南１局

ドラのから軽快に仕掛けて1000、2000のツモアガリ。
親の瑞原が勝負手のイーシャンテンだったこともあり、このアガリの価値は非常に大きい。

南２局

迎えた親番で、メンタンピンの5800を高宮から討ち取り、２着の座を固いものにする。
神風を呼んだ稀代の名軍師が、更に連環の計で火計を謀ったように、勝又の攻めが加速する。

更に１本場。

引きでテンパイの勝又だったが、ここは迷わずテンパイ外しを選択。
一気通貫か、萬子が上に伸びての三色。
親なのでリーチの選択ももちろんあったはずだ。

しかし軍師勝又は……この手をトップへの決め手にすることを選んだ。

見事山に４枚残っていたを引きいれ、高目三色テンパイに仕上げる。
リーチ後に瑞原から出たのは安目のだったが、これで更に2900の加点。

これでなんと勝又は５局連続の加点。
『侵し掠めること火の如く』勝又の猛攻が続いている。

続く２本場

今度こそトップを逆転するべく。
勝又がリーチ攻勢に打って出る。
を引き入れての、待ち。山には、が残っていた。

現状下位チームのボーダーとなってしまっている状況から抜け出すべく。
風林火山の最後の砦、勝又が懸命に手を伸ばす。

が、最後の最後で、トップにはギリギリ届かず。
勝又は２着でのフィニッシュとなったのだった。

トップには、見事堀とのホリシブリレーを２連勝で決め切った、渋川難波。

渋川が特に素晴らしかったのは、南３局の高宮へのアシストだった。
自分がアガれなさそうな手牌だと見切るや否や、次善は高宮のアガリであると状況を判断。
ダブを鳴いている高宮の手が進めば、２着目の勝又もおいそれと振り込むことができない。
徹底したアシストで高宮のアガリを誘発し、オーラスは自力で見事トップを決め切った。

勝又は２着で局を終えた。
が、東場での展開を考えれば、２着は上々の結果ともいえるだろう。

激化し、熱を帯びてくる後半戦。それは風林火山にとってみれば、このボーダーにされる状況との戦いともいえる。

風林火山城防衛戦。
この戦いの行く末は、軍師勝又の双肩にかかっている。