変わる黄色の遺伝子 TEAM雷電 #黒沢咲 が仕掛けた4局【Mリーグ2023-24観戦記 2/8】担当記者 #後藤哲冶

続けざまに【1ソウ】もポン。
これでトイトイドラ3のイーシャンテン。
8000点の手とはいえ、2副露でノーテンの黒沢の仕掛けはあまり見たことが無い。

しかしこの仕掛けも、アガリには繋がらなかった。
小林の1人テンパイで流局。
これで、2着争いの黒沢と小林の点差が縮まって、オーラスを迎えることとなる。

迎えたオーラス
黒沢の手は、決して良いとは言えなかった。
しかし、親の瑠美がアガれば局は続き、小林のアガリは、着順ダウンになってしまう場合が多く、魚谷も素点回復である程度の打点の手を作ってくるとなると、自分のアガリ以外で2着で終わるケースが少ない。

幸い、手の中には役牌の【北】のトイツがある。
これをポンすればアガリは見えそうだが、黒沢はここから役牌を鳴くイメージはあまりない。

「ポン」

しかし、黒沢は動いた。
配牌から手が伸び、リャンメンターツが増え、アガリが見えそうだったこともポンを後押しした。
自身のアガリで、2着を決める。
その意志表示。

【赤5ソウ】も先に切り飛ばす。
打点はいらない。後手を踏んだ時に押し返せるように、安全牌候補の【中】を持った。
2着を持ち帰るための最善手を探す。

しかしその上家に座る小林も見事だった。
黒沢の欲しかった【6ソウ】【9ソウ】【5ピン】【8ピン】を使い切り、タンヤオドラ1の2000点のテンパイを入れる。
これで、ツモか黒沢からの直撃で着順アップだ。

素点をできるだけ稼いでやろうという魂胆の瑠美もやってきた。
【5ソウ】をチーしてドラを使い切り、【2マン】【5マン】待ちのテンパイ。

黒沢もようやく追い付いた!
【4マン】を引き入れて、【6ソウ】【9ソウ】のテンパイ。目論見通り、テンパイ打牌は【中】で、安全にテンパイを取ることができる。
これで3人テンパイ。最後のめくり合いの結果は。

瑠美から出た【8ピン】を、小林がロン宣言。
瑠美からのアガリでは着順こそ上がらないが。これ以上素点を減らさない、3着キープのアガリで終局を迎えることとなった。

トップには、EX風林火山二階堂瑠美

高打点をしっかりと決め切り、守る時は守り切っての盤石の打ち回し。
ボーダー争い中の風林火山にとっては大きな一勝だ。

2着となったのが、黒沢。
全4回の副露の内、2回はアガリがとれそうな、高打点のテンパイが入るポン。
1回は、オーラスアガれば着順をキープできる、オーラスだからこその仕掛け。
これらは実は以前の黒沢であっても、取りそうな選択だった。
オーラスの仕掛けは意外に思われるかもしれないが、元々黒沢はオーラスに限り、こういった仕掛けをすること自体はあった。

印象的だったのが、南2局でのドラの【4マン】ポン。
【1ソウ】のポンまで入って、8000点のイーシャンテンという黒沢にしては珍しい仕掛けだったと思う。

実際、裏インタビューで、黒沢本人もこのポンは良くなかったかもしれないと振り返っていた。
けれど、実際にテンパイが入っていた小林に、オリる選択肢を考えさせた事もあり。決して悪い仕掛けではなかったように思う。
結果はテンパイ、アガリに辿り着くことはできなかったが、こういった仕掛けが、黒沢にとってプラスに働くことは、今後もあってなんらおかしくない。

今日黒沢が副露した4局は、残念ながらいずれもアガリに繋がることはなかった。
けれど、黒沢咲がこうして変化を望み、最適解を模索する姿は――

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