一方、鳴いた場合は、
テンパイするのが、
(は全見え)の28枚。およそ倍になる。
そのかわり、引きは愚形テンパイになるので、ツモで好形テンパイになるのは21枚だ。
また、チーしてテンパイとなるのはの15枚。しかし、そのうち好形テンパイとなるのは、の9枚。スルーの14枚より減っている。
しかも、上家からかなりマンズが打たれやすいので、マンズが減るのは枚数以上の損失となる。
ちなみに切ることとなるは、前巡にを通していてが全て見えているので、比較的打ちやすい。
さて、取り上げておいてなんだが、これは悩ましい。好形テンパイと一口に言っても、単純なリャンメンと、–ノベタンの質が違うというのもある。
仕掛けることも含めた最終形の安定性をとるならスルー。多少の愚形には目をつぶり、主にツモによるテンパイ枚数を重視するならチーだ。
私は、が残っているならチーするが、この状態ならスルーしそうだ。ただ、どちらもあるにはあるだろう。
(NAGA解析は「シャンテン数の変わらない鳴きの評価が低く出るので、今回は紹介しないこととする。」)
何はともあれ、茅森はテンパイ枚数重視の策を取って、
絶好のを呼び込んだ。
この時点で勝負あり。
をツモって茅森が逆転トップ。
ボーダー争いから抜け出す、価値ある勝利を挙げた。
ん…?
何か見てる…??
いや、めっちゃ見てる!!!
茅森は、この日解説の仲林に「トップを取ったらカメラ目線をする」と話していたらしい。
そして、大事な試合に勝った喜びも大きかったのだろう。
レギュラーシーズンも残り15戦。
狙った獲物は逃さない。
要所要所でアガリを決めたスナイパー、茅森早香が、
ボーダーにいるフェニックスを押し上げた、そんな一戦であった。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite