これを受けて、のポンを入れていたラス目親の小林が、チーして打ドラのと猛プッシュ。誰の目にも聴牌が明らかなところだ。
二人聴牌で流局かと思われていた矢先、親の小林の手が止まる。引いてきたのは両無筋の。
およそ1分に渡る長考の末、小林は降りを選択した。
チーム状況も考え、この半荘トップを狙うのではなく、三着効率を最大化。
ここで高宮に放銃してオーラスという最悪の未来よりも、リーチ棒を残した状態でオーラス一局で高宮をまくって三着という次善の未来を選択した。
これを受けて場面は戻る。白鳥はこのをチーして高宮に海底を送った。
【以下追記部分】
インタビューで白鳥はこう答えた。
①小林が聴牌の可能性はまだある(状況的に小林は聴牌を取り切りたいため)
②小林が聴牌で連荘よりも、ドラも多く見えて安そうな高宮が和了ってオーラスを迎えたほうが自身のトップ率が高い
の二点から高宮に海底を送ったほうが得だと判断したという。
まず②について
どのパターンがトップ率が高いか、麻雀AI・NAGAの段位ptアナライザ機能を参考に見てみよう。
小林が聴牌して連荘のパターン
【南3局1本場供託1】
高宮 19000
亜樹 26800
小林 19700
白鳥 33500
小林が聴牌だった場合の着順確率がこちらである。白鳥のトップ確率は70%程、2着率は22%程だ。
次に高宮が海底で1000・2000をツモったパターン。
【南4局】
高宮 22500
亜樹 27300
小林 16200
白鳥 34000
白鳥のトップ確率は87%を超える。ただし、この結果には親の和了りやめ・聴牌やめアリが含まれていることには留意する必要がある。
そしてこちらが高宮が海底でリーチ海底ツモ+αのマンガンだった場合。
【南4局】
高宮 26500
亜樹 26300
小林 14200
白鳥 33000
白鳥のトップ確率は74%。連荘のケースよりもわずかながらトップ率が上がっている。
NAGAの分析をある程度参考にするのなら、小林が聴牌している場合に限り、高宮の和了りのほうが嬉しい状況といえよう。
興味深いのは小林がノーテンだった場合の分析結果だ。高宮の2着率が下がり、亜樹のトップ率が上がった結果、ほんのりではあるが高宮の1000・2000ツモと比べてトップ率が下がっている。
素点の関係もあるため、明確にどっちがいいとは言えないだろう。しかし思った以上に僅差の損得の話であることには筆者自身も驚かされた。
もちろん白鳥は対局中にNAGAを使ったわけでもなければ、頭の中で完璧な確率をはじき出したわけでもない。
しかし白鳥は長年の麻雀人生の中で培った、自身の感性・選択を信じた。
【追記部分ここまで】