二階堂亜樹と白鳥翔、セミファイナルの舞台で舞い踊るは炎の輪舞曲【Mリーグ2023-24セミファイナル観戦記 4/9】担当記者 渡邉浩史郎

亜樹と白鳥、
セミファイナルの舞台で
舞い踊るは炎の輪舞曲

文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2024年4月9日

レギュラーシーズンとセミファイナル、麻雀という観点から見てそこに本質的な違いはあまりないはずである。

しかし偶然というものは恐ろしく、例えばレギュラーシーズンMVP常連の瑞原はセミファイナルの成績が芳しくない。
本日一戦目もオーラスに捲られるラスを引き、なんとこれでシーズン跨ぎのセミファイナル7連ラス。

もちろんだからといって誰一人として瑞原の強さを疑う人はいない。
しかしこういう結果を見てしまうと、「セミファイナルと瑞原は相性が悪い」という物語を描きたくなるのが人間というもの、点と点を結んで星座を作ってきた時代から続く、「紡ぎたがり屋」の性だろう。

一方でセミファイナルに強いというイメージの選手もいる。セミファイナルの王・キング石橋が筆頭だっただろうか。

そしてこの男……

白鳥翔もセミファイナルにとにかく強い。これまで累計で200pt近くをセミファイナルで稼いでいる。

本日二戦目は白鳥を含む、レギュラー不調気味の四人で固められた。「レギュラー不調だとセミorファイナルで爆発」なんてまことしやかに囁かれてもいるが……

この日の好調は下馬評通りの白鳥と、現状チーム最下位の亜樹だった。
白鳥が序盤に躱し手をガンガン決め、亜樹は一発ツモのマンガンと四軒聴牌を制した3900の和了りで東場を大きくリード。

南1局も亜樹が躱し手をツモって、一人40000点に到達した状態で親番を迎える。

【南2局】

この局、勝負手が入ったのは三人。まずは白鳥。ドラの【9ソウ】を引き入れて三色と一気通貫の両天秤で手を進める。

そして亜樹も赤赤のこの手牌。ターツオーバーの中で、亜樹の選択は……

【白】
手の内を中張牌だらけにすることと引き換えに、一番役アリダマテンにしやすい形を残した。
親番の即リーチ手順を残さないといえば弱気に見えるが、トップ目で安全牌候補を全消費といえば強気に見える、そんな二面性をはらんだ一打だ。

次巡、小林がタンヤオと引き換えに打ったドラの【9ソウ】をポンしたのが高宮。【北】バック上等で相手にプレッシャーもかかる、当然の良い仕掛けだ。

ここに白鳥が高め三色で追いつく!
ダマテンでの【6マン】ツモは嫌な点棒状況、出た【6マン】を見逃せるほど余裕のない煮詰まった状況。【9マン】は注目を浴びている高宮の現物だが果敢にリーチといった。

このリーチで困ったのが亜樹。【白】切りの安全牌を減らす選択が裏目になってしまったような形だ。

手牌の形だけ見たら全プッシュでも肯定され得るのだが、点棒と南2局という状況が安易にそれを許さない。
通っている安全牌は【赤5マン】のみ。高宮は字牌の切り出しの後にほんのり【3マン】を押している。

候補はほぼ二択。白鳥への唯一の安全牌【赤5マン】か、まっすぐ【9マン】か。

亜樹は【9マン】を打ち抜いた。白鳥の第一打【5マン】に、裏筋の【6マン】【9マン】はかなり怖いところだが、

①ドラが7枚中5枚見えてて(白鳥の手が)安い可能性があること
②自身の手に価値があること
③今日は強気に行くと決めていたこと

この三つを後押しとして、攻め込んだ。

結果は二着目に12000献上して親落ちという考え得る限り最悪の展開に。

しかしオーラス、淀みなく入った聴牌を、本日二度目の一発ツモに赤もつけての跳満でまくり返してトップ獲得は亜樹となった。

強気と弱気の狭間で揺れ動くと語る亜樹だが、今日の戦いを見る限り既に火はついている。このセミファイナルで再び情熱的な舞を見せてくれることだろう。

そしてそれとは別にこの半荘。セミファイナル男・白鳥が【南3局】に見せた独自の感性も話題となった。

リーチ者の高宮に海底を送る、このチーである。

順を追って説明していこう。

まずはこの局、高宮が【9マン】を切っての先制リーチは【1ピン】【4マン】シャンポン。

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