西原理恵子 & 山崎一夫 ギャンブルに首までハマった人々…




ギャンブルに首まで
ハマってしまった人びと

私が学生時代に正社員として働いていた、高田馬場のパチンコ屋の店長は、会社のお金を使い込んでクビになりました。

原因は麻雀や競馬などのギャンブル。

私が担当していた雀球(麻雀をパチンコ台に組み込んだゲーム)フロアの店長です。

「ヒマだな、少し遊ぶか?」

「ラジャー!」

店長が雀球を打って、とにかくアガれば店長の勝ち、という単純な賭けです。

1回の勝負は五百円。店長にとっては参加する部下が多いと賭け金もデカくなります。

「惜しい! せっかくの四アンコだったのに」

自分で調整したクギでも勝てないようでは、ギャンブルに向いてないのかもしれません。

「またダメか。じゃあ現物支給だな」

店長は現金の代わりに景品のタバコのカートンで払っておりました。

店長は麻雀にもどっぷりとハマっており、遅番の勤務が終わった後は、私たちといっしょに毎日のように徹マン。

「そんな安い手で俺の親を流すんじゃない。見ろよこっちは、四アンコ1シャンテンだぞ」

大物手狙いの腰の重い麻雀なので、若い部下たちのスピード麻雀にやられてました。

明け方に麻雀が終わっても、チンチロリンなどでギャンブルは続きます。

「モーニング・コーヒーの出前を頼もうか。マスターが来るか、奥さんが来るかに千円」

こんな生活で、私は少しお小遣いが増えましたが、高田馬場から世田谷の大学まで行く気力はなく、留年の憂き目に遭ってしまいました。

おそらく麻雀で勝った金額よりも、留年した学費のほうが高かったんじゃないかと思います。(ここ重要)
店長は競馬にもかなりつぎ込んでいたらしく、時どき目つきの悪い男が集金にしきてました。

私たち部下も似たようなもので、ホール内ですれ違う時はコイントスの勝負。
百円玉を空中に弾いて、それを右手でキャッチ、すかさず左手の甲に伏せる。

「表!」
「はいハズレ、百円よこせ」

店長が失踪する前には、予兆がありました。

「おれは日航の元社員。来年安くハワイに連れてってやるから、毎月積み立て金をしろ」

積立を初めてすぐに行方不明になってしまったんです。

 

この店の勤務では大きな収穫は2つありました。

ひとつは、雀球の仕事がら麻雀の清一の組み合わせに強くなったこと。
もうひとつは、別のフロアの主任に、パチンコのクギの叩き方を教えてもらったこと。

後に銀玉親方の仕事をするのに、かなり役立ちました。
仕事で稼ぎながら、稼ぐ能力が少し上がったんです。
(ここ試験に出ます)

 

ギャンブルを続けるには
腕か金か両方が必要

店長が失踪してから、私は同僚とはあまり麻雀を打たなくなり、雀荘で知り合った遊び人たちとバラ打ちをすることが多くなりました。

初任給が十万円も無かった時代に、誰もが点ピンの麻雀を毎日平気で打ってた時代です。

その当時、それまでの質屋に変わってサラ金が登場したのも、ギャンブル資金の調達を簡単にしました。

バラ打ちのレートは元もと点ピンだったんですが、私が歌舞伎町の旅館麻雀で覚えた東風戦を持ち込んでからは、インフレ化しました。

あまりインフレ化すると、レートについていけなくなる人が出てきます。

ところがギャンブラーは、ちゃんと解決策を考え付くんですね。
それがサシ馬と均等前出し金システム。

「山ちゃん、レートを上げる代わりに、サシ馬万両でどうだい?」

「いいですよ」

「おれも入れろ」

この場合、3人のうち最下位の者が最上位の者に、ニ万の支払いで、中間者はチャラ。

「ラスニ万はキツい。前出しでどうですか?」

私が提案します。

前出しの場合は、参加者3人が事前に一万ずつ卓上に出し、最上位者が全部取るとうシステム。
最上位者が受け取る金額は、サシ馬と同じですが、他の2人が一万ずつの負担になります。

「俺も入れろ」

「4人じゃ、レートアップしたほうがいい」

つことで急きょレートアップ。

「じゃ、前だしは無しか」

「いや、一応希望だけは聞こうか」

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