卓上で仁王立ち 爆速試合で魅せた 阿修羅の多井隆晴【Mリーグ2023-24セミファイナル観戦記 4/18】担当記者 ZERO / 沖中祐也

まさかの【8ソウ】ツモで三暗刻完成。
こうなるなら【2ピン】を残しておきたかったが、仕方ない。単騎コロコロの旅に出る。

この絵合わせの旅を

なんとか成就させ、三暗刻・ドラ3・赤1の18000。

放銃した岡田は茫然自失。

高打点をアガってなお、多井は気を引き締める。

ABEMASを絶対に終わらせない。

そういえば、ちょっと前に多井の気になるポストを見かけた。

ある時から、多井は麻雀の勉強にかける時間を意識的に削った。
その分、配信やメディア活動に力を入れてきたのだ。

同じ麻雀打ちとして寂しく感じたものの、気持ちはとても理解できる。

そもそも多井はこれまでに多大なる時間をかけ勉強し、麻雀界でトップクラスの実力を身に付けた。
その実力が100だとして、今からさらに勉強したところで101になるかどうかといったところだろう。伸びしろが極端に狭いのだ。

さらに麻雀というゲームの特性上、100が101になったところですぐに成績に反映されるわけではない。
引き出しを増やしたおかげで弱くなることだってよくある話である。

現状の実力で敵なしなら、他のことに時間を使ったほうがいい。
Vtuberと絡んだり、他の業界(ゲーム・将棋・クイズ・競輪・競艇… などなど)で活躍することは、麻雀界にとっても他の麻雀プロにとっても間違いなくプラスに働く。

私は空いた時間に欠かさず配信したり、いろんなジャンルの人と絡む多井さんを見て、視野が広く本当にすごい人だと心から尊敬している。

その多井がどういう心変わりだろう。

「ちゃんと麻雀を勉強しようと思い」

再び本格的に麻雀を勉強しようと思い直したのである。
ここからは私の推測になるが、レギュラーシーズンで2年連続勝ちきれなかったことに自信の雀力の衰退を感じたのかと思う。

筋肉と同様に雀力も鍛え続けないと衰えていくものだ。

さらに堀や仲林の台頭に危機感を感じたのかもしれない。
彼らに勝つために再び101を目指し始めたのだ。

いずれにせよ、ABEMASが負けそうになっていることに、本気で責任を感じているのは間違いない。

南入してからも多井は鬼神の如き強さだった。
南1局

2600で瑠美の親を切って落とすと…
南2局は岡田の先制リーチに

スリムに構えていたおかげで追いつき、絶好の【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】待ちで追っかけリーチ。
瑠美の手詰まりを誘発し

8000の横移動を演出した。

続いての南3局も圧巻。

この配牌で何を切る?↓

局消化を考えるならイッツーは残したい。
しかし多井は【1ピン】を切ったのだ。

ツモ【3ピン】【5ピン】イッツーこそ逃してしまうものの前進。
【7ソウ】の横伸びや【西】【5マン】の対子には手をかけたくないという判断である。
この判断もズバリはまり

【7ソウ】の横伸びをキャッチして3900のアガリを射止める。
これで5回目のアガリ。

険しい顔でオーラスを迎える。
アガっても放銃しても、ずっとこの表情は崩さなかった。

麻雀星人の本気モード。

結果的にオーラスは瑠美が2着に滑り込むマンガンをツモり、

多井はトップで対局を終えた。

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