刹那の攻防戦
僅か8局で織りなす
強者達の四重奏
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2024年4月18日
「――とんでもないカードが揃ったなってまず思ったんですよね」
この日実況を務めた日吉辰哉は、第2試合の出場選手が出揃った時に、そう口にした。
各チーム、そして各団体のトップ選手が揃った。そう言っても過言ではないだろう。
先にお伝えする形にはなるが、この第2試合は、Mリーグでは最短である、8局で終局している。
……が、僅か8局とは思えないほどに、この試合の内容は濃く、そして麻雀の面白さが凝縮されていたように思う。
麻雀強者達が織りなす、僅か8局のドラマ。
その一端を、この記事で感じていただけたら嬉しい。
4月18日 第2試合
東家 多井隆晴(渋谷ABEMAS)
南家 堀慎吾 (KADOKAWAサクラナイツ)
西家 園田賢 (赤坂ドリブンズ)
北家 勝又健志(EX風林火山)
東1局
まず開幕良い手牌が入っていたのは、西家に座る園田だった。
を引いて、これでタンヤオのブロックがかなり多くなっている。
ここは、ペンの不自由な部分を払っていくかと思われたが。
園田はをツモ切った。
マンズの部分がドラドラなのだが、ドラ表示牌がであることも含め、この二度引きが苦しい。
かといって、タンヤオに行くにはソーズ下が少し重たい。の受けがあるため、周りを一度引いてからでないとタンヤオになりにくいからだ。
であれば、は固定した上で、ペンを引ける巡目を少し先まで伸ばす。
多井と堀がを切っており、ペンもそこまで悪くない上に、守備面に置いても長けているターツと言える。
まさに狙い通り。
引き伸ばした一巡でしっかりとペンを捉え、これで盤石。
を切って、イーシャンテンだ。
更にを引き入れてソーズの受け入れが増える。
を切ってドラのを雀頭に固定。これで最終形が良い形になるのが確定かつ、打点もドラドラで保障される。
しかし先制リーチを打ったのは、親の多井だった。
良いとは言えなかった配牌を、見事高目三色テンパイまで育て、待ちのリーチ。
ツモれば安目でも2600オールからの高打点だ。
それでも、園田が臆することは無い。
リーチの一発目に。更にはダブル無スジのをもノータイムでツモ切り。
これだけの手材料があれば、オリることは無い。真っ向から勝負の構え。
多井が、園田を睨み据えた。
多井が率いる渋谷ABEMASは、現状、セミファイナルでは最下位となる6位に位置している。
この親リーチ、簡単にかわされるわけにはいかない。
園田がを引いて追い付いた……!
当然のリーチ宣言。親の多井に対して真っ向から挑んだ園田がで、めくり合いへ持ち込んだ。
この開幕一発目の勝負は、一瞬で決着する。
園田がを一発ツモ……!
リーチ一発ツモピンフドラドラの3000、6000。
ペンを捉えていなければこのテンパイ形にはなっていない。
あまりにも鮮やかなアガリ。
東1局から、強者達の剣戟の響きが聞こえてくる。
勝負は、まだ始まったばかりだ。