震える右手が掴みとった3s__ #渡辺太、魂の押し引き【Mリーグ2024-25観戦記9/16】担当記者 #江崎しんのすけ

このツモ番を凌げば、連荘が確定する。
しかし、切らなければいけないのは残り2パターンしかないリャンメンの1つである【4マン】【7マン】

とても押せる牌とは思えないが、太の直感ではリャンメンの【4マン】【7マン】はそこまで出てくることは無いと感じたらしい。

理由は堀が打った5巡目の【9マン】

宣言牌が【8マン】なので、【4マン】【7マン】が出てくる場合は↓のような複合形が多い。

宣言牌の裏筋(今回は宣言牌が【8マン】なので、その隣の【4マン】【7マン】)がロン牌になるパターンの代表例として、このような一盃口受けが残った形が出てくるが、もしこの形が残っていた場合、5巡目の堀の手牌には【5マン】【6マン】【6マン】【7マン】【8マン】【8マン】【9マン】とあったことになる。

この形では【9マン】が殆ど機能していないため、4巡目の打【白】のところで打【9マン】になっているのでは? というのが根拠だ。

改めて河を見てみる。
リャンメンの【4マン】【7マン】が出てこない場合、愚形への当たりやすさはどうだろうか。

まずシャンポンだが、【4マン】は場に1枚も出ていないので【4マン】のシャンポン待ちはあり得る。【7マン】のシャンポンは【9マン】を先に切っているため出てこない可能性が高い。

次にカンチャンだが、これはどちらも出てくるパターンは少なそうだ。

【4マン】がカンチャンで当たる場合、当然手の中に【3マン】【5マン】があるわけだが、【9マン】を切って離れて【8マン】を切ってリーチしているため、手の中には【6マン】が1枚以上無いとおかしい。でないと使えない【8マン】を単独で持っていたことになるからだ。

そうなると手の中には【3マン】【5マン】【6マン】があったことになるので、単純なカン【4マン】ではなく、複合形が考えられる。例えばこんな形

この形から別のターツが埋まって【8マン】切りリーチになれば、カン【4マン】になる。

しかしこの場合、5巡目の打【9マン】がおかしくなる。
【9マン】ではなく打【3マン】としておけば【5マン】【6マン】【7マン】【8マン】【8マン】【9マン】とリャンメン含みの形が残るので、打【3マン】になる可能性が高い。

最後にカン【7マン】だが、これは一見ありそうに見える。
【8マン】を引っ張っていた理由も、典型的な【6マン】【8マン】【8マン】からの【8マン】切りリーチが思い浮かぶだろう。

ただその場合【8マン】のシャンポン待ちにすることが多く、わざわざカン【7マン】にするケースは少ない。

カン【7マン】にするケースを挙げるとすると、たとえば678の三色がつくケース。

シャンポンに受ければリーチのみだが、カン【7マン】なら678の三色になり打点が上がるケースなどがある。

しかし、今回は【8ソウ】が4枚見えたため三色も否定されている。

まとめるとこんな感じだ。

【4マン】・・・シャンポン待ちはあり得るが、カンチャンは無さそう
【7マン】・・・シャンポン待ちもカンチャン待ちも無さそう

太は吟味の結果、打【7マン】を選択した。

この【7マン】にロンの声がかかる。

開けられた堀の手はリーチドラ2のカン【7マン】
5,200点の加点に成功する。

【6マン】【8マン】【8マン】と持っていたなら【8マン】シャンポンにするのでは? と太は読んでいたわけだが、堀はノータイムでカン【7マン】待ちを選択していた。

リーチ時、堀目線の河がこちら。

堀がシャンポン待ちにしなかった理由は、もう1つの待ちであるドラ【1ピン】の場況の悪さだろう。
ポイントは太の6巡目の打【3ピン】と松ヶ瀬の6巡目の打【2ピン】

松ヶ瀬は字牌の切り巡からもストレートに手を進めており、字牌を全部処理仕切った後に【2ピン】が手の中から出てきたのでピンズの下を持っている可能性が高い。

太も同様に、【發】ポンから【6ピン】【6ソウ】と切った後に【3ピン】を切っているので、【3ピン】は手牌に関連している可能性が高いだろう。

そうなるとどちらか、もしくは最悪2人とも【1ピン】を持っているかもしれなく、山に残っていないかもしれない。

一番最悪なのは太が【1ピン】を2枚持っていて、【1ピン】【1ピン】【3ピン】から打【3ピン】としているパターンだ。
その場合打点が高い親(太)と枚数の少ない待ちでめくり合いをすることになってしまう。

それに比べカン【7マン】は太が早々に【9マン】を切ってるため持っている可能性が低く、仮に太とめくり合いになったとしても【7マン】が使える形になっておらず止められない出アガれるケースも増える。

手を開けられれば納得の形ではあるものの、太目線ではそこまで読むことはできない。

5,200点の放銃からスタートした太だが、一度もアガリがないままオーラスを迎えていた。

満貫2回の放銃もあり、持ち点はマイナス1万点を下回っていたが、同じく苦しい展開が続いた萩原を300点かわし3着目に浮上していた。

2着が大きく離れてしまったため、至上命題は3着の死守。
打点は必要無い。今日、今シーズン最初のアガリが欲しい。

オーラス6本場は堀以外の3人テンパイで流局。
太もギリギリでテンパイを入れることに成功し、なんとか3着目をキープ。

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