対局時間は既に2時間を超えている。
疲労もピークに達しているだろう。
オーラス7本場、松ヶ瀬の第一打に声がかかった。
ポン
松ヶ瀬が切ったを太がポン。
狙うアガリ役はトイトイかタンヤオ。度重なる逆風の中でも、太は最適解へのルートを決して見逃さない。
を引き、タンヤオへ
9巡目、をポンしてテンパイ。
の片アガリ、しかもフリテンという厳しい待ち。
それでもノーテンと比べれば天と地の差がある。
直後、萩原から親リーチが入る。
待ちはとのシャンポン。
太はを引き、待望のフリテン解消
そしてのノベタンに変化! これなら充分に勝負できる。
次巡、太が引いたのはカン材の。
萩原の現物なので切れば問題ないし、カンすればリーチをしている萩原の打点が上がるリスクもある。
しかし、自身の待ちが勝負できる待ちになった以上、1回でも多くツモ番を増やすためにカンを選択。
リンシャンに伸びる太の手は、震えていた。
昨シーズンのMリーグデビュー戦、太は何度か手が震えていた場面があった。他の選手と違って放送対局に慣れていなかったため緊張があったのかもしれないが、数日登板した後はスムーズに闘牌するようになった。
この1年で、太はたくさんの人の期待に応え、名実ともにドリブンズを代表する選手の1人となった。
多くのものを背負った選手となった太の手が震えていたのは、デビュー戦での震えとは違う理由だろう。
リンシャンから引き寄せたのはアガリ牌の3s。
タンヤオ・リンシャンツモの700-1,300点
Mリーグ2024開幕日第2試合目は、太の今シーズン初アガリとなる美しい700-1,300で終局となった。
今年もいよいよはじまったMリーグレギュラーシーズン。
毎年パワーアップしていくMリーグだが、今シーズンから待ちの枚数が表示されるようになった。
なんでも、AIを駆使して画像認識を行い瞬時に残り枚数を数えているらしい。
これまでも実況解説が残り枚数を伝えてくれていたが、やはり画面に情報として映ることにはそれなりの良さがあった。
オーラス、太の待ちがフリテン待ちから単騎→へと変化した際、
片アガリ(※黄色帯はフリテン)
(1枚)
(3枚)
と、分かりやすく枚数が増えていき、太の技量、そして最後のアガリの美しさがより際立ったように思える。
毎年、期待以上の感動を与えてくれるMリーグ。
また明日から、19時が待ち遠しくなる日々が始まる。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke