全員が一斉にアガリに向かっていた局だったが、わずか1巡で白鳥・たろうが離脱し、黒沢・茅森のアガリ競争となる。
茅森は手が進み、・
のカンチャンと
のイーシャンテンに

そして12巡、黒沢に通っていないを引く。

勝負手が入っている茅森だが、ノーテンから無筋は切りたくない。を取っておけば
・
を引いたときに比較的安全そうな中筋の6sを切ってテンパイを取ることができる。
そうなるとピンズのリャンカンに手を付けたい

は直前に黒沢と白鳥がツモ切り2枚切れ、
もたろうと白鳥が切って2枚切れとなっている。
枚数は互角だが、茅森の選択は


打。カン
残しだった。
この選択には主に2つの理由がある。
1つはと
の山に残っている可能性だ。
どちらも2枚ずつ見えているが、はたった今通ったばかりなのに対して、
はたろうが少し前に通している。
白鳥とたろうはだいぶ前から黒沢の仕掛けに対応しており、も既に切っているため、もし今手の中に
があったなら先に切っているだろう。対して
はたった今通ったばかりなので、ここまで手の中に残していた可能性がある。
実際に白鳥の手の中にが1枚残っており、
2枚に対して4p1枚だった。
そして2つ目がたろうから直撃が取れる可能性だ。
茅森は7巡目にを切っており、
を先に切って最終形にカン
(
・
)が残っていた場合、他家からするとかなり読みにくい。
が入れば一盃口ができるので問題ないが、
が入るとリーチをしても裏ドラが無ければ5,200点にしかならず、たろうからの直撃しか逆転できない。
本線はリーチ・ツモ・赤2の満貫としつつ、自身のツモ筋にアガリ牌がいなかったときの保険をかけた一打だ。
この一打が功を奏す。

次巡のツモはなんと。
もし前巡にカンを残していたらテンパイを入れられなかったことになる。
・
のシャンポン待ちも有りだが、
の所在が読めないため、
でのリーチを選択する。

その直後、黒沢もようやくテンパイ。

と
のシャンポン待ちで、18,000点の超大物手だ。
そしてその後、形式テンパイを入れたたろうが、最終手番でを切って
単騎の形式テンパイを取る。
たろうは海底ロンの可能性を残してあえて現物のを切らずに通りそうな
を切ったのだが、もし茅森にカン
が残っていたらこの
を捉えられていただろう。

残すは茅森の海底のみ。
茅森の、黒沢の
・
、そしてたろうの
単騎、全て山に1枚づつ残っていた。


勝利を掴みとったのは茅森だった。
海底でをツモり上げ、リーチ・ツモ・海底撈月・一盃口・ドラ3の跳満で見事逆転を決める。
チームポイント400目前となる大きな1勝を上げた。

日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke