中田のリーチに一発でを掴まされた勝又。一度は迂回するも、今後はドラと赤ドラがメンツとして完成されたイーシャンテン・勝負形となって返ってくる。そして、自身は圧倒的ラス目の親番なのだ。ここで押さなければ、勝機はないだろう。

その時の盤面がこちら。
さて、皆さんは何を選択するだろうか。

勝又はリーチ者には通っていない雀頭候補のに手を掛け、リャンシャンテン戻しという大胆な選択へ。
恐らく➡︎
の切り順により比較的
が通りやすい点と、より危険牌である
を軸に横伸びも見据えての最終形の良さを求めたのかもしれない。
とはいえ、チーム状況や点差を踏まえると中々踏み切れない決断であった。

実際に中田の待ちは。
勝又が真っ直ぐ手を進めていると一発で放銃、裏ドラと重なり12,000を失っていた。しかし勇気ある決断により、その未来は書き換えられた。
満貫テンパイの入った萩原が、勝又の代理人となり、中田へ8,000の代償。つまり、勝又は最小限の“親番放棄”という痛みに抑えていたのである。
麻雀とは、アガれない局の方が圧倒的に多いゲーム。ゆえに、失点を防ぐという行為は、裏を返せば相対的な加点とも言える。勝又の選択は、まさにその典型であった。

迫り来る3/27(木)最終・直対決戦。
点況はどうなってるか分からないが、この英断から守られた12.0Pが最後にものを言うかもしれない。
中田花奈・成長物語──芽生えた意識──
「私なんかが…。でも私にしか出来ないことがある。」
この言葉は、中田がMリーガーとしての指名を受けた直後、インタビューで語ったものである。
不安と覚悟が同居するその一言に、彼女の麻雀人生のすべてが詰まっていた。
恐らく、麻雀の技術や経験においては、他のMリーガーに及ばないという素直な自覚があったのだろう。
それでも、トップアイドルとして活動してきた経験や、自ら立ち上げた麻雀店を通じた普及活動──。
“中田花奈”にしか出来ない強みがある。
逆に言えば、1年目はどこか迷いがあり、“これで良いのかな”と自分に問いかけるような姿も見受けられた。
だが、2年目に入ると、その迷いはすでに払拭されていたように映る。
東3局1本場

中田はここから

打とした!
ではない。
である。その狙いは後に照らし合わされることに。

数巡後… ノーミス・七対子テンパイである。
そして、ここまでの打牌選択肢に迷いは無い。

アガリには結びつかなかったが、そこに映し出された中田の表情には、どこか自信と確信が滲んでいた。
1年前とは違う──そう感じさせる何かが、確かにあった。
優の連荘により、点数を削られ始めた東3局4本場では

昨年の中田であれば、多少無理をしてでも満貫を狙いに行っていたかもしれない。
しかし、今日の中田は違った。迷わず仕掛け、最速のアガリルートを選び取っていた。
「チームが沈んでいるからどうにかしなきゃ」とか「小さなアガリばかり拾っていたら、どう思われるか」──
そんな邪念は微塵も感じられなかった。
ただ、目の前の一局と真っ直ぐに向き合う中田の姿が、そこにあったのである。
そして、一番印象的だったのがこちら。

試合終了と同時に、カメラのアングルが中田に切り替わった──その瞬間だった。
画面に映ったのは、心の底から悔しさを噛みしめる中田の姿。その表情を見たとき、私は確信した。
彼女は、まだまだ強くなる。
これからの中田花奈に、更なる成長を期待せずにはいられなかった。
麻雀は、常に勝者の裏に敗者がいるゲーム。そして、レギュラーシーズンも、いよいよ残り僅かへ。
果たしてこの先、どんなドラマが待ち受けているのだろうか──。
その瞬間を、皆さんと一緒に、私も見届けていきたいと思う。