「まだ新しい選手には負けるつもりはない。」
「雷電を下位予想する人の目は、間違っている。」
そんな想いが、その一打に乗り移ったように牌も応え

終盤にテンパイ。
意地の連荘に持ち込んだ。
見えない呪縛から解き放たれた時、雷電は雷電らしく、その魅力を何倍にも膨らませていく。
本田の麻雀。
それは、踏まれても踏まれても決してへこたれない。
むしろ、踏まれるたびに強く地を蹴り、再び立ち上がる。
次局の南2局1本場。
今度はまたしても阿久津のリーチ受け、更に園田の仕掛けに囲まる展開に。
それでも本田は

チーにより前に出続け、片アガリ
待ちで追いつくと

心の叫びは、阿久津のツモアガリ牌を東城の元へ。
そして…

園田のツモアガリ牌を自身の元へ引き寄せるのであった。

本人による志願だったかどうかは分からないが、誕生日・連投作戦。2着・2着と決して派手さは無かったが、苦しい展開を意地でまとめ上げ、チームも暫定2位まで浮上した。
にしても、これで42歳なんて反則だよな。
そういえば、笑いはストレスを和らげ幸福ホルモンの分泌を促す。そして、結果的に若さを保てるらしい。
本田朋広の笑顔は、まさにその証明。
見習いたいものである。

新チームや新Mリーガーが続々と加わった今季。
その中で唯一、1年のブランクを経て復帰の舞台に立った選手がいる。
「Mリーガーじゃなくなった時は、プラス10が0になっただけ。でも、そこで得たものは0にはならないから、むしろプラスなんです。」
退団の際にそう語った彼女。
その間の時間は決して空白なんかじゃない。強い意志を持ち続け、自分を磨き続けた時間である。

そして、復帰戦となった久しぶりのステージでは、思わず笑みがこぼれるほど楽しそうで、「ただいま!」という思いに溢れていた。

だがしかし
今日の卓上で見せたのは、明るい笑顔ではなかった。
苦しみながらも、押して押して、必死に食らいつく姿だったのである。
(なかなか親が落ちてくれない── 忘れていた、この感覚。」
そう、ここがMリーグという舞台なんだ。
楽しいだけでは終わらない。重圧と緊張、そして勝負の責任が容赦なくのしかかる。
ならば、自分で決めるしかない。
南2局2本場

あの時の…
あの赤い羽はもうない。

でも今、私にあるのは…
頂天を狩る、仄暗い(ほのぐらい)ドーン・ブルーの爪。
その銀狼に輝くリーチ棒は

ここから「Sai:」再び始動するのであった。
最後に決めたポーズ。

あの時の── 重なったのは、きっと私だけではないだろう。
思いを胸に。
東城りおのビーストロードは、今まさに始まったばかりである。