「行けるよな?」
監督のその言葉が、
仲林にはある男の声と
ダブって聞こえた
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2023年4月21日
第1試合
東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
1師弟関係
「誰に麻雀を教えてもらったか?」
この回答には2パターンある。
一つは純粋に麻雀というゲームの存在を教えてくれた人。家族や友達などが多いだろうか。
そしてもう一つは麻雀の打ち方、強くなり方を教えてくれた人。質問を「誰が師匠か」と言い換えたほうが分かりやすいだろうか。
麻雀でも当然師弟関係は存在する。
セガサミーフェニックス:魚谷侑未の師匠がU-next Pirates:鈴木優だということは有名だろう。
師弟関係の二人、先にMリーグの舞台に選ばれたのは弟子の魚谷だった。
それが師匠である鈴木優の起爆剤となったのは想像に難くない。
弟子からすれば「誰に教えを乞うか」はもちろん大事だが、師匠からしても「誰に教えを乞われるか」というのは大事なことなのだ。
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2「行けるよな?」
”龍を継ぐもの”とは
皆さんご存じ、U-next Pirates:仲林圭の通り名である。
そんな仲林だが、昨日二戦目は僅差の展開で痛恨のラスを引いてしまう。
優と仲林の連勝から始まった今週の8連戦。
その締めであり、同時にセミファイナル後半の始まりとなる本日、監督は仲林に託した。
「行けるよな? 自分で取り返してこい」
その言葉を胸に、仲林は連日連闘に挑んでいった。
しかしこの日はなかなか浮上出来ない展開が続く。
【東2局】の親番ではWポン、ポンで一段目にマンガン両面聴牌を入れるも……
全員が徹底守備の上に、和了り牌が全て脇に流れてしまう。
決定打となる和了りが生まれないまま、主導権を握ることもできずに南場に突入する。
そんな中で迎えた【南2局】の親番。
導かれるように打ったピンフのみリーチが……
ドラを一発ツモ!
裏ドラも乗っけてのリーチ・一発・ピンフ・ツモ・ドラ・裏、突然の6000オールで一気に突き抜けた!
これは”龍”が出たか。
3吉田光太という男
仲林を語るうえで、避けては通れない存在がある。
仲林が最も尊敬し、師として仰ぐ麻雀プロ:吉田光太である。
仲林は吉田光太から直接その才能を見出されたことで、麻雀プロを目指すようになった。
まさに今の仲林という存在を作り出した男である。
”龍を継ぐもの”という二つ名も彼由来のもの。
吉田がその身に宿すもの、それこそが”龍”であり、”龍を継ぐもの”とは仲林が吉田光太という存在そのものを継いでいることを示している。