魔王佐々木寿人は 如何にしてアガリ、如何にしてオリたか【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/13 第1試合】担当記者 後藤哲冶

寿人としては悪くない横移動だ。
目下ライバルだった白鳥が点棒を減らし、上が見やすくなる。
オリる時は徹底的に。
この鉄壁の守りこそが、寿人がこのスタイルで勝ち続けてきた理由のひとつ。

南3局

南2局でも1000、2000をツモアガった寿人が、この局も前に出る。
カン【6ソウ】をチーしてタンヤオへ。手の中にはドラの【5ピン】が2枚。

役牌【南】を鳴いていた白鳥が、【4マン】をポンして【4マン】【7マン】のテンパイ。
いわゆるダブルドラの【赤5ピン】を使いたかったが、8000点のホンイツテンパイならばということで切り出していく。

これを寿人がポン。
しかしカン【4マン】の部分が苦しい。【4マン】は今白鳥にポンされたところだ。
それでも、打点があってトップが見えるときはストレートに。アガリに向かっていく。

カン【4マン】の部分に【5マン】を引いて形が変わった後、【5ピン】を引いてきてこれを加カン。
嶺上牌から持ってきたのは【7マン】。これは白鳥への放銃となってしまう牌だ。

終局間際、白鳥から【8ピン】が放たれて、これを寿人がポン。
待ちはどちらにとるか…… 【7マン】だと放銃になってしまうが。

選んだのは【5マン】だった。
【4マン】がポンされていて、優が【8マン】を通してから白鳥に手出しが入っていない。
更に新ドラに【5マン】が見えたことで、寿人の目から【5マン】が3枚見えた。
シャンポンでも当たらなくなったということで、ここは【5マン】を切ってのテンパイ取り。

河底の切り番で白鳥を降ろすことに成功し、1人テンパイで流局。

アガリに向かうと決めたら限界行けるところまで行き切るのが寿人の良さ。
これでトップが十分見える、ところではあったが。

迎えた南4局
この【6マン】【9マン】リーチが脅威の6枚山であったのにもかかわらず。

リーチ対決に負けてしまい、トップには届かず終局となるのだった。

トップには、絶好調鈴木優

「今は僕のところに手が来てくれてます」

と謙虚に話す優だったが、持ち前の踏み込む強さでトップをとった回数は数えきれない。
シンプルに実力でプラスポイントを積み上げているのは言うまでもない。

2着となった寿人。
インタビューでは「トップになれたかもしれないので、悔しいです」と淡々とその胸中を語ってくれた。

Mリーグも今年で8年目。
選手も大幅に変わり、対局の内容も、少しずつ変容しているように感じる。

その中で、寿人には『変わらない強さ』があると思う。
もちろん、メンバーが変わって、それに順応していくことも大切だ。
けれど、寿人はあくまで、自身のスタイルを変えずに貫いてきている。
打牌速度、押し引きのメリハリ。

美しいほどに洗練されたそのスタイルで目指すは、KONAMI麻雀格闘俱楽部悲願の優勝、ただひとつ。

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