水曜日のMリーグ~それは滝沢和典が魔王のようにツモった日だった説~【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/21 第2試合】担当記者 カイエ

そこへチートイツのテンパイ。単騎の選択は?

【2ソウ】を切って【9マン】待ちの方を選択。リーチとした。
しかし、これはどうだったか。
まず、打点面。
下が離れている3着目のラス前で、トップを狙うには少しでも加点したい。まだラス親が残っているとはいえ、条件は軽い方がいい。ここはタンヤオのつく【2ソウ】であれば、リーチ・タンヤオチートイツ・赤で満貫確定。ツモれば裏ドラ関係なく3000・6000だ。勝又を親かぶりさせて2着浮上する。【9マン】待ちは、自身の捨て牌に【8マン】が早く、【2ソウ】より出アガリ率は高いが、場に1枚切れ。字牌と異なり、順子としても組み込まれ得る数牌待ちであれば、見た目枚数を判断材料にしても良かった。出アガリ裏無しは6400点と、打点も不満。

そして、捨て牌に違和感が生じるのが【2ソウ】切りリーチの短所のふたつ目。
【3ソウ】【2ソウ】の優秀なリャンメン(ドラ受けターツでもある)を払ってのリーチは、否が応にもチートイツが読みに入る。実際、勝又は場に1枚切れの【東】を警戒して止めていた。これが【9マン】が宣言牌であれば、親の現物でもあり、安全牌として持っていた可能性も否定しにくい。関連牌と読まれにくい。

結果論ではあるが、【2ソウ】が先に山にあったのは痛恨だった。
この日のハギーは、ツモ切りリーチの選択・次局の5200点ダマの選択・リャンメンチーで12000点を2900点に落とす選択などなど、勝負所や分岐が多数あった。成功も失敗もあった。これらの他にも、押し引き判断で疑問符が付くような場面もあった。特に南入してからは、かかっているというわけではないが、東場でのリードを保てそうな安定感はなかった。成否はともかく、東4局で仕掛けを急いだかのような「らしくなさ」が起因しているようにも思えた。

南4局3本場

ロングゲームとなったこの半荘の、実に17局目。最後に着アップが難しく、少しでも素点を戻したい多井が意地を見せる。

リーチ・一発・ツモ・【南】・ドラ3・裏3で10翻の倍満!
あと1役あればトリプルで、奇跡の着アップだったが、惜しくも2600点届かずゲームセット。

対局自体が日をまたぎ「水曜日のMリーグ」が開催されたこの半荘は、全員が3回ずつアガるという珍しいスタッツを以て幕を閉じた。

対局後のトップインタビュー。
高打点が飛び交った、大荒れのこの半荘を制する決め手となったハネ満のアガり。
南2局1本場のカン【5ソウ】即リーについて問われたタッキーは、

「簡単に言うと、僕もああいうのツモってみたかった」
佐々木寿人、必ずリーチしますね。あれ」
「だいたいうまくいかないんですけど、珍しくうまくいきました」

と、本気なのか冗談なのか分からない回答で煙に巻く。
イケメン真顔と低音ボイスで飄々とボケて、笑いを攫っていくのがこの男のスタイル。サービス精神とユーモアを、今日も存分に発揮する名役者ぶりだ。

今シーズンから選手兼任監督となった滝沢和典
監督として名采配や名言(如水!)を繰り出すかと思えば、自身もプレイヤーとして個人3連勝。
最序盤のチームの苦戦もどこへやら、監督として、選手として、仲間を牽引する。

寿人のようにツモってみたかったは半分冗談にせよ、チーム不動のエースの麻雀を摂取し、チームに脈々と流れる遺伝子を受け継がんとする男の姿勢は、団体戦としての一体感やファミリーの絆を感じさせる。

KONAMI麻雀格闘倶楽部としても、特別な年になってしまったこの2025-26シーズンに、悲願の初優勝を天に届けたい。

ガラクタポーズが指し示す、その先へ。
万感の想いを胸に、栄光のシャーレを天上へと捧ぐ。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀シリーズ 新刊情報/