勝負所を制した當眞、ここからは独壇場。
東4局、
藤本から2局連続でアガリをものにして
ドラの2,000点を加算。
続く南1局。
789三色に狙いを定めた手筋で見事に高めをツモ。
リーチツモ三色の2,000-4,000をアガって岡崎に肉薄。
南2局。
當眞は、6巡目にノーミスでチートイツをテンパイ。
これをヤミテンに構えると次巡に
を軽やかにツモ。
1,600オールを手にして先行していた岡崎を逆転すると、トドメは続く1本場。
藤本のリーチをかいくぐり、![]()
ホンイツトイトイの6,000オールをツモって盤石のトップ目へ突き抜け。
このアガリが決め手となって、勝ち上がりは當眞脩平、岡崎涼太に決まった。
このゲーム、ほとんど出番がなかった小車。
「戦わせてももらえなかった感じですかね。勝負のステージに上がれないまま時が過ぎてしまったという印象です。」
失意の中ながら、自分の思いをしっかりと語った小車。
その言葉選びがすごいな、美しいなと私は感じたのだが気のせいではなかった。
実況を務めている日吉辰哉プロが小車について語っていた場面があった。
日吉プロによれば、自団体である日本プロ麻雀連盟の実況について、かつては小車の番手の方が上だったという。
タイトル戦の序盤の実況を日吉プロが担当し、準決勝や決勝といった華のある場面の担当は小車。
日吉プロは小車のことをライバル視していたといい、小車に嫉妬していたとのことだ。
その後、日吉プロは実況の仕事を多く担当することになり、小車はタイトルを手中に収めてプレイヤーとしての階段を登っていった。
二人が別れた道。
その道のいく末に麻雀最強戦という華々しい舞台があったというのは実に興味深い話だった。
「実況者として誰を応援するということはないのだが、もしかしたら心のどこかで彼のことを応援しているのかもしれない。」
しかし、その声の甲斐なく今日の小車は脚を余したまま散った。
きっと、小車はこのゲームをABEMAプレミアムで振り返ることだろう。
そして、日吉プロが語ったこの言葉を耳にすることと思う。
その時に小車は一体何を思うだろうか?
機会があればその時の心境を聞いてみたいと思った。
「やめない限り、チャンスは続く。」
カメラに向かって捲土重来を誓う小車の目は、すでに次の麻雀最強戦を見つめている。

北海道在住のアマチュア雀士。 7歳で父から麻雀を習い、土田浩翔プロ、喜多清貴プロを師と仰ぐ。 2020年北海道最強位。















