揺蕩う勝利の行方
當眞脩平がつかみ取った未来
【決勝卓】担当記者:東川亮 2025年11月15日(土)
麻雀最強戦「全日本プロ選手権」。
現最強位・桑田憲汰を輩出しているように、この大会は全ての麻雀プロにとって大きなチャンスである。
キャリアや人気など関係なし、麻雀で勝てばそれでいい。
至ってシンプルで分かりやすく、勝負の原則に基づいている。
そんな舞台に挑戦してきたプロたちも、決勝を迎えて4名まで絞られた。
一発勝負ならではのドラマと、その果てに生まれた勝者は。
■牛田寿明、見えないものを見ようとして
牛田寿明(RMU)は日ごろ、占いの会社を経営している。
運勢、運命・・・「運」と麻雀は切っても切り離せない関係であり、彼自身は占い師ではないとは言え、運とのつきあい方は熟知、理解しているのだろう。
一発勝負こそ、運が味方するか、それをしっかりと生かすかが問われる。
東4局、親番の牛田に
トイツドラドラのチャンス手が入る。
3巡目には
切り。絶対にドラを使い切るという意志のある一打。
をポンして手を進め、高目三色、12000という勝負手となった。
福島からリーチがかかっても、この手、この点数状況ではオリる気なし。ツモ切りも空中で、まるでリーチ後のモーションだ。
高目と安目では打点が倍違う。高目で決めきった4000オールで、牛田が一歩リード。
続く東4局1本場では、序盤からチートイツ進行をしていくと、2枚切れの
単騎でリーチを敢行。チートイツドラドラ、9600からという打点はもちろん、相手の心も折りに行くような待ち取りとリーチ選択は強烈。
しかし、親リーチで相手の手を曲げさせた先に、違う未来もある。福島が現物の
を抜くと、それに岡崎がロンの声。1000は1300、牛田のチャンス手は実らず。長らく運と付き合ってきた牛田には、もしかしたらここで運の流れが見えていたのかもしれない。とはいえ、人間に運そのものをどうこうすることはできないのだが。
■岡崎涼太の自信と充実
岡崎涼太(連盟)は団体内での評価が高く、最強戦には何度も出場していてファイナル進出経験もあり、この舞台に限れば経験値は突出している。
そしてそれ以上に、今の彼には自分の麻雀に関する自信がみなぎっているようだ。
「俺を選んでおいたほうが良かったんじゃないのか」
なかなか言えるセリフではない。
東3局では牛田が345三色の色濃く見える仕掛けをしているなか、![]()
待ちピンフをダマテン。暗槓でドラも増えているなか、焦って親リーチで押さえつけにいくのではなく、良い待ちを探りつつこのままアガれてもOKという判断。
當眞からアガって連荘、クールに局を終わらせていく。リーチで一か八かをしないところも、自分の麻雀を貫けば勝てる、という自らへの自負があるのだろう。
南1局にはドラ色のピンズでホンイツを狙える手牌をもらい、しっかりと仕上げて2000-4000、トップ目に立った。
■福島佑一、大本命の意地
福島佑一(連盟)は、今回の視聴者予想アンケートで80パーセントオーバーというぶっちぎりの支持を集めていた。自団体のタイトル「王位」を獲得していてリーグも上位、先日は「激突タイトルホルダー」にも出場し、視聴者に馴染みがあった、ということも大きいだろう。
ただ、いかに強者であっても、手牌とツモに恵まれなければどうしようもないのが麻雀。
序盤からテンパイが遠く、テンパイしてもアガリに恵まれない展開が続き、岡崎の満貫ツモで大きなビハインドを負って南場の親を落としてしまった。
南2局1本場。
福島は4巡目にして急所のカン
を引き入れ、![]()
待ちテンパイした。序盤なら、あるいは親ならリーチが有力。
しかし、この手をリーチしても一発や裏ドラが絡まなければ2000点どまり、それで最短3局のひとつを消化してしまうのは、かえって逆転条件を難しくすることにもなりかねない。
苦渋のダマ選択。理想はドラ
引きでの打点アップだし、
や
での一気通貫変化もあり。もしこのままツモってしまったら![]()
待ちのフリテンリーチに行くつもりだったという。















