「麻雀の教科書」滝沢和典がほどこした アガリへのスパイス【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/18 第1試合】担当記者 ゆうせー

ここは、

チンイツを目指して、テンパイを外していく。

リーチのみの手には目もくれず、高打点を目指していく。

手牌は、緑色であふれかえっている。

あと1枚で、手牌がソウズで染め上がる。そんな状況でも、

滝沢のツモりにいくモーションは、表情は全く変わらない。

正確かつ流麗な動作。

これが、滝沢の武器であり、長所だ。

我々が打っていたら、手牌が気になってしまい、こんな綺麗なフォームで山に手を伸ばせないだろう。

麻雀やMリーグに興味を持っているけれど、まだ麻雀番組を見たことがないという方は、ぜひ滝沢の試合を見てほしい。

そんな滝沢が迎え入れたのは、

【8ソウ】だった。

「スッ」

【4マン】を手放した滝沢。

待ちは瞬時に確認できていたのであろう。

見ている我々は、じっくり考えることにしよう。

【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】+【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】+【4ソウ】【5ソウ】+【5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】+【8ソウ】【8ソウ】

【3ソウ】【6ソウ】待ちだ。

チンイツのテンパイ。アガリ牌が顔を出さない中で、滝沢が持ってきたのは、

【4ソウ】だった。

ここで、滝沢が珍しく長考に入った。

場況は、

このようになっている。

みなさんなら何を切るだろうか?

現状をキープするなら打【4ソウ】だ。【4ソウ】が3枚見えで使いにくくなっている。

正直なところ、実戦では「分からないからツモ切って、持ってきた牌なかったことにする」プレイヤーがいても不思議ないように感じる。本来は、冷静に「自分が考える正着」を導けるといいのだが、卓についていてチンイツが入ると、パニックになってしまう気持ちも分かる。

他の待ち取りは、

【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】【3ソウ】(+【4ソウ】【4ソウ】【4ソウ】)+【5ソウ】【5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】【8ソウ】

のように【4ソウ】のアンコを除くと考えやすい。

【5ソウ】を切ると【1ソウ】【4ソウ】【8ソウ】【8ソウ】を打つと【1ソウ】【4ソウ】【5ソウ】の「変則三面張」にとれる。

超大物手だけに、ここは待ち取りを失敗したくない。

滝沢が出した結論は、

【5ソウ】切りだ!!

最大の理由は、

【1ソウ】【8ソウ】を他家が使いにくくなっている「場況」だろう。

【2ソウ】【3ソウ】【6ソウ】がたくさん見えているということは、その外側の牌は打ち出されやすい。

対して、【3ソウ】【6ソウ】も、【4ソウ】を3枚ブロックしているので悪くはないが、それは「自分にしか分からない情報」だ。

ならば、河という「4人に公開されている情報」で、薄いと分かっている部分を利用した方がいいことは多い。

合計枚数としても、【3ソウ】【6ソウ】が3枚、【1ソウ】【4ソウ】【8ソウ】が4枚と、打【5ソウ】が僅かながら多くなっている。

「場況」に「枚数」を合わせて、アガリを狙った一打であろう。

ちなみに、打【8ソウ】として【5ソウ】で待つと、【赤5ソウ】でアガれたときのプレミアがつくこともある。ただ、その分「赤は打たれにくい」というマイナス面も存在する。

滝沢はあくまでも、場を見て使いにくいと判断した端寄りの【8ソウ】に期待して、打【5ソウ】を選んだのだろう。

この【5ソウ】をポンした逢川が、

数巡後に【4ソウ】を持ってくる。

「ロン」

滝沢のチンイツが決まった。

門前で仕上げたので、6ハン。12000だ。

これで突き抜けた滝沢が、

東4局

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