茅森早香
「楽しかったです!」
負けた直後のはずなのに、その表情はどこか晴れやかだった。
本当にそう思っていなければ出てこない言葉だろう。
でも、映像にはしっかり映っていた。
茅森の手が震えていたのを見た人なら分かるはずだろう。
楽しいって言葉の奥には、怖さも、苦しさも、必死で手放さずに握りしめてきた強さも全部、ちゃんと詰まっている。
そして、その楽しかったの一言を聞いて、胸を突かれた男がいた。
萩原聖人
「俺はね、正直メチャクチャ緊張もしたし、怖かった。でも、アガりたくて、チームのために絶対にアガりたくて。
正直、手も震えてましたよ。」
茅森とは反対の言葉だった。
けれど、不思議と同じ景色が見えてくる。
「でもね、茅森さんの「楽しかった」って言葉聞いて、恥ずかしくなりましたよ。あんな状況で、ああいう言葉出てくるなんてすごいよ。忘れてた事を思い出させてもらった気がします。」
勝った者も、負けた者も。
報われた者も、報われなかった者も。
最後は同じ場所に心を置いていたのである。
それこそが麻雀であり、
それがあるから人はまた、牌を握りたくなる。
最後の一牌まで、全員が全力だった。
そして、その姿に、見ている者も胸が熱くなる。
「そう、これが麻雀だ!!」

日本プロ麻雀連盟31期後期(9年目)北関東支部所属。地方から麻雀熱をテーマに活動しています。【歩く地方リーグ】連盟公式対局の速報なども担当。【速報の中の人】JPML WRCリーグ3期・9期【WRCの申し子】と呼ばれてたり呼ばれてなかったり。














