しかし、そのざわめきは次々とやってくる。
次巡の萩原のツモは何と、山にたった1枚しか眠っていなかった最後の
であった!
これで、茅森に放銃となる
を組み込む事ができたのである。その確率は、たったの2.0%であった。
そして、カン
テンパイ。
…
待ち!?
あれ!? ついさっき、この牌を1枚だけ浮かせていた人がいたような…。
そう、先ほどの太の手牌だ!
や
をツモった時はもちろん、場にそれが出ればポンテンで
が選ばれる。
や
を引いても、
が出る可能性は十分にあった。
この瞬間、ドリブンズのサポーターはただ祈るしかなかっただろう。どうか太が
を引きますようにと。
だがしかし、その願いは瞬く間に裏返る。
萩原のツモ牌… それは
だった!
その巡り合わせは8.7%である。
そして、それは茅森には通っていない牌でもある。だからこそ当然、手は迷わず現物の
へと伸び、カン
からカン
への待ち変え。
太の手牌。
つい数巡前まで「頼む、
だけは…」と願っていたはずの牌。しかし、今この局面では意味がまるで変わっている。
もし
を引けば、それは萩原のトップを決める一枚になるのだ。
願いが恐怖に変わり
恐怖が祈りに変わる
麻雀の残酷で、美しい“裏返り”がそこに現れていた。
そして、ついに麻雀の神は、この勝負の最後の選択を与える。
萩原の元へ静かに流れ込んできた一枚の
。その確率は、わずか5.3%だ。
ここまで積み重なったすべての巡り合わせが、この瞬間に収束する。
誰かが願い、誰かが恐れ、誰かが求めた一牌。
その一枚が、運命を決める。
萩原は
を選択。
と
のシャンポン待ちだ!
その判断がどれくらいの確率に裏付けされていたのかなんて、もう誰にも分からない。
ただ一つだけ確かなのは、萩原聖人がそっと胸に手を添えるようにして、この一局、この一瞬にすべてを預けたということだけだ。
そして、そのテンパイに導かれるように…
太にテンパイが入り!
優にもテンパイが入った!
この時、山に残されたのはわずか22枚。そして、四者それぞれのアガリ牌は、どれも2枚ずつであった。
それはただの巡り合わせかもしれない。それでもすべてが等しく、すべてが残酷で、すべてが美しいのだ。
最後は鋭い読みでもなく
卓越した膨大なデータでもない。
できるのは、祈ることだけ。
茅森の手に、一枚の牌が静かに吸い込まれる。
その牌は、萩原へ放銃となる
あのオーラスが終わったあと。
二人がインタビューで語った言葉は、まるで真逆の答えを導きながらも、どこかでひとつに重なっていた。
木下遙(リポーター)
「最後のオーラスはどんな心境でしたか!?」















