朱き卓上に染まる──破壊の女神、伊達朱里紗──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/12 第2試合(麻雀チャンネル)】担当記者 小林正和

朱き卓上に染まる──

破壊の女神、伊達朱里紗──

文・小林正和【金曜担当ライター】2025年12月12日

開幕前の囲み取材で、伊達はこう語っていた。

「特に三浦さんや阿久津さんとは、普段から交流も多く同卓が楽しみですね。」

もちろん、それぞれのチーム事情はある。

ただ個人的にも、同じ日本プロ麻雀連盟に所属し、交流のある四人が揃った楽しみな対戦カード。

それぞれの「らしさ」が表に出た一戦となった。

第2試合

東家:本田朋広TEAM雷電
南家:三浦智博EARTH JETS
西家:伊達朱里紗KONAMI麻雀格闘倶楽部
北家:阿久津翔太KADOKAWAサクラナイツ

 

  • 阿久津らしさ──【6ピン】放銃となった真意──

東1局4巡目に、七対子【7マン】単騎待ちリーチ。

東2局5巡目では、赤・赤・ドラのカン【6ピン】待ちリーチ。

待ちに不安要素がありながらも、比較的早い巡目で積極的に先手を取るのは

阿久津翔太だ!

年明けには自団体の最高峰タイトル戦・鳳凰位決定戦も控えている。今では若手No.1と言っても、決して言い過ぎない存在だろう。

そんな阿久津が、このMリーグの舞台では今、苦しい時間を過ごしている。

だが、今日のリーチをひとつ見ているだけでも、「何も問題ない」と思わせてくれた。

たまに一緒に練習もするのだが、そこにあったのは、いつもと変わらない迷いのないリーチ。

「結果が出ないからといって、普段の自分を出せなくなる。それが一番、怖い。」

以前、そう語っていたように、少なくともこの半荘では、その兆しは見えなかった。

こちらは東3局3本場、連荘中の伊達からのリーチを受けた局面。一発目に引き入れたのは【8マン】だ。

ここで、めずらしく少考の間を入れると

現物の【7マン】が手元にはあったが、4枚見えているということでノーチャンスの【8マン】をソフト・プッシュ。七対子のイーシャンテンをキープする。

そして、押した甲斐があったとばかりに【4ソウ】ツモってテンパイだ。

さて、どうする。

阿久津は【6ピン】切りとし、【8ピン】単騎のヤミテンを選択した!

しかし、伊達につかまり裏ドラ2枚が重くのしかかる12,000(+900)の失点となってしまった。

阿久津

「最初の【8マン】切ったところで無難に【7マン】切っておけば、あそこまで手痛い放銃にはならなかったですね。」

試合後の振り返り配信で、そう語っていた。

しかし、続けて

「でも、あの状況。【8マン】の他に【2ピン】【8ピン】も比較的切りやすい牌が残っていて。普段ならオリてないからなー。」

その言葉こそが、阿久津らしさ。

そして何より、自分を見失っていない証拠だ。

ちなみにNAGAはこの時、【7マン】【8マン】を同じくらい推奨している。つまり、どちらを選んでもさほど問題は無さそうだ。

そして、テンパイ時の打牌理由については、こう説明している。

「この瞬間、【7マン】切りは微妙な選択肢なんだよね。マンズのホンイツ仕掛けの三浦さんが【9マン】の手出しを挟んじゃったから、それもロンされる可能性が高まっていて。」

つまり、ここでオリきれるほどの安全牌が確保できていない以上、テンパイを取ろうと。

あわよくばツモられる前に、あるいは自身が放銃してしまう前に、先にアガリ切ってしまおうという公算だ。

「(【6ピン】【8ピン】の選択については)伊達さんが【赤5ピン】切った時、すでに【9ピン】が2枚切れなのも若干【6ピン】【9ピン】ターツの所持率が下がってたし、ロンアガリ率だけみるなら【8ピン】の方が高いですからね。」

全然、苦しんでいるようには見えない。

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