「見えない相手」と戦う雷電〜浮沈をかけた萩原聖人のめくり合い【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 3/6 第2試合】担当記者 千嶋辰治

南1局2本場の時点で萩原の持ち点はわずかに200点。
このまま3着フィニッシュであればABEMASと約20ポイント差にはなるが6位をキープできるが、4着となると順位はひっくり返る。

ラスだけは…そう願うユニバースの視線が卓上に注がれる。

その萩原の配牌。
着順もさることながら、これ以上素点が削られるのも避けたいところ。
第1ツモでメンツが完成したところだが、この手をなんとかしたい。

しかし、その猶予は与えられないかもしれない。

3巡目、萩原と共にラス争いを演じている内川がドラの【白】を打ち出した。

「ポン。」
声の主は仲林。

トイトイ含みの仕掛けでハネ満まで。一馬の背中を追う。

その仲林が中盤にテンパイ一番乗り。

トイトイへの渡りは打てなかったが、【1マン】【6ピン】のシャンポン待ち。
仲林の河を見るとソーズが高く、ピンズは中スジになっている。
このままでもいいが、ピンズは両面変化もあってアガリの可能性は高そうだ。

しかし、ドラを打ち出した内川からリーチが飛んでくる。

待ちは【3ピン】【6ピン】。このリーチによって仲林のピンズ両面変化は放銃となる。
事実上手牌はロックされてしまった。

その直後、

萩原があの配牌を懸命に仕上げ、安め引きながらテンパイ。
追っかけリーチを放った。
宣言牌のために用意しておいた2枚切れの【南】が手格好の充実ぶりを示しており、場にはさらに緊張が走る。

ドラを仕掛けている仲林、さらに現状3番手の内川とのめくり合い。
あるいはこの結果がレギュラーシーズンの趨勢を左右しうるかもしれないということは、萩原もよく理解しているだろう。
そのリーチの一発目、

内川の無筋である【6ソウ】を河に放つが辛くも通った。

背中で感じるユニバースの思い、胸に去来する仲間への思い。
萩原を包む重圧がどれだけのものか、この表情からもお分かりいただけるだろう。

しかし、萩原の手にやってきたのはそれらの期待に沿うものではなかった。

勢いよく撃ち抜かれた前巡の【6ソウ】とは違い、努めて静かに置かれた内川のロン牌。
【3ピン】の手触りに萩原は全てを察したようだった。

リーチピンフ赤に裏ドラが1枚乗って8,000の放銃。
3番手を内川に明け渡した萩原はその後、

親番で失点を挽回していく内川にまたもや【3ピン】で7,700の放銃を喫し万事休す。
箱下23,000点と大きなマイナスを刻んでこのゲームを終えた。

「一生懸命打ちました。」

対局後のインタビューでこう切り出した萩原。

「清々しいくらい掴んでましたね。…この時期にね、清々しいくらい掴んでんじゃねーよっていう感じですけどね。」

こういう時におどけて見せるのは、悔しさを噛み殺す萩原ならではの姿だ。
そして、萩原は姿勢を直してこう続けた。

「昨日からWBC(ワールドベースボールクラシック)が始まっても、麻雀を優先してくれている人がたくさんいると思うんですよ。10チームで戦えるのはあと十数試合しかないが、『熱狂を外へ』というスローガンで全ての選手がWBCに負けない試合をやろうと思っている。それを見ている人が面白いと思ってもらえたら。」

Mリーグを見つめるファンを思う言葉でインタビューを締め括った萩原。
7位へ転落を喫してしまったが残り試合は10試合あり、冒頭に示したようにABEMASやドリブンズとの直接対決はまだ残っている。

3月27日、果たして最終日に笑うのはどのチームか。

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