涙の先で 永井孝典【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 3/23 第1試合】担当記者 後藤哲冶

この局はテンパイ打牌【6ピン】が岡田への放銃となるものの、親番の岡田が仕掛けたからこそ、リーチが無くなり前に出やすく、アガリを取りに行った姿勢は非常に良かったように思う。

南3局1本場

親の岡田からリーチ、そして滝沢からリーチときて、永井が、今この瞬間通ったドラの【3ソウ】をすかさず合わせた。
その理由は。

永井の下家に座る元太もここまで岡田の親リーチに対して無筋をバンバン押していたから。
この【3ソウ】をチーして元太にテンパイが入る。
もちろんこの場面は【3ソウ】を合わせるのが良い場面だが、この相手を戦いに参戦させる切り方は元太を彷彿とさせる。

これで元太も【4ピン】を勝負して【3ピン】【6ピン】【9ピン】待ちでテンパイ。

永井は手番で、岡田以外への差し込みを考えたのが手が止まる。
確かに、岡田以外への差し込み南4局を迎えれば、かなりトップ率は高い。

しかし、永井は全員へ安全度の高い【北】を切った。
現状自分の目から赤やドラはそこまで見えておらず、滝沢や元太の打点も不透明。
自分がここで8000や12000を打ってしまったら、それこそ素点も損な上に、オーラス逆転の可能性を残してしまいかねない。

必要以上に、背伸びはしない。
冷静に、安定的な選択ができるのも、永井の良さだ。

そもそも、永井がわざわざ差し込むことをしなくとも。

3人が参加している以上、単純計算にはなるが、岡田がアガる確率より他2人がアガる可能性の方が高い。

この局は元太が岡田から【3ピン】を出アガって決着。
これで永井は自身のトップをより強固なものにし。

南4局もきっちり1度素点稼ぎでアガった上で。
実に9試合ぶりの勝利を、つかみ取るのだった。

 

これで永井は最多勝争い単独トップに立つ14勝目を獲得。

前回試合に続けての登場となったインタビューでは……笑顔が見えた。

その表情は、晴れ晴れとしていて。

「まだあきらめてませんので、上目指します」

と力強く宣言してくれた。

永井はこの5日間で吹っ切れた要素として、前述した元太とのやり取りの他に「たくさんの方からの激励のメッセージと、週末の仕事で会いに来てくれた方にパワーをもらったこと」と教えてくれた。

このメッセージからも分かるように、永井孝典はどこまでも、人情に溢れる優しい男なのだ。
是非このMリーグから知った人には、彼の事を好きになってもらいたい。

……まだ勝利のポーズは、少しぎこちないけれど。

心優しき猛将が、流した涙の先で見せた笑顔。
──今シーズンの最後、今度は……嬉し涙を流している所を、見ることはできるのだろうか。

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