勝者の裏には敗者が存在する
──四人で奏でた
一つのカルテット──
文・小林正和【金曜担当ライター】2025年3月21日

第2試合
東家:中田花奈(BEAST X)
南家:勝又健志(EX風林火山)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:萩原聖人(TEAM RAIDEN / 雷電)
逆転でのレギュラーシーズン突破を目指すEX風林火山とBEAST Xにとって、どうしてもトップが欲しい試合だったが──
第一試合目では4着・3着と、まさかのお互い逆連対。
続く第二試合目では──
東1局

BEAST X の中田が親の満貫を成就させ、幸先の良いスタートを切るも、その後は思うように加点できず徐々に後退。
そんな立ち込める暗雲を吹き飛ばすべく南3局では

決まれば、清一色・トイトイ・ツモリ三暗刻・高めドラ3の三倍満。
再び逆転トップに返り咲く、華やかな手に育てるも、その願いは叶わず悔しい3着となる。
また、EX風林火山の勝又に至っては、大きな放銃が続き、箱下を大きく割る連続4着。追いかけるチームにとって、現実は冷たく、その行く手を阻んだのであった。

その結果、6位との差は約300P・700Pと広がり、更なる苦境に立たされる形へ。
一方、上位に位置するU-NEXT PiratesとTEAM雷電がトップ争いを演じる。
東3局

まずはU-NEXT Piratesの優が、山にたった1枚残されたをいとも簡単にツモり2,600オール。半歩分ほどのリードを奪うと、東3局3本場では

中田からの12,000(+1,900)の出アガリで、早くも持ち点は50,000点の大台を超えた。
だが、その優の勢いに待ったをかけるべく、萩原がじわりと迫る。
東4局

リーチ・ホウテイ・ピンフ・一盃口・赤・ドラ2
親の跳満18,000で優を猛追。
そして、この目を覆いたくなるような壮絶な一撃を浴びたのは──

こちらもリーチを敢行し、自身のアガリ牌以外は無情にもツモ切らなければならない勝又。いつもより1.5倍程の対空時間を掛けたツモ・モーションが、静かな葛藤を物語っていた。
好調者と不調者、それぞれの光と影が交錯した一戦。
最後に卓上を制したのは、やはりこの男──

昨シーズンのMVP“鈴木優”であった。
南4局

親番・萩原のリーチ宣言牌という最後の一牌まで、勝負を預ける事なく自ら掴みに行く──その覚悟がある限り、彼はいつだって“戦闘民族”と呼ばれるに相応しい存在であり続けるのだ。

反則なのは、この試合中に見せる鋭い眼差しからは想像もつかないほどの柔らかな笑み。
そのギャップこそが、鈴木優という男の“推される理由”の一つなのだろう。
それは冗談として、優の本当の強さを象徴するシーンが、実は静かに卓上に刻まれていた。その本質に触れるための合言葉は、こうだ。
「攻撃は最大の防御──そして、その逆もまた然り。」