そして白鳥が掴んだのが、その当たり牌の
である。
ピンフ三色3900は4200。石原のロンの声に白鳥は茫然とした。
白鳥は試合後、放銃については「いや俺ほんとびっくりしてマジみたいな」。
「待ちは体感5枚」と予想していた。実際は7枚。それを伝えられると「きちー」と悔しがった。
そして最後に、「最近アンチが増えてきてるんでそれですね」と、呪いのせいにした。こんな冗談が出てくるところが、白鳥の愛すべきところだ。
この放銃で、白鳥は14400点。西村との差は12500点に開いた。満貫ツモでも届かず、ハネ満ツモが必要になった。
は1個先にいた
南4局、親は西村。西村が手を作りに来ないのは分かっている。ところが10巡を過ぎても、欲しい牌が来ない。1巡ごとに、じれったさが積もっていく。
それでも白鳥は条件を作ってリーチをかけた。待ちは
か
かの選択。
白鳥の目からはどちらも2枚づつ見えている。しかし山に残っているのは、
の1枚だ。白鳥はその1枚を選んだ。読みの正確さは、完璧だった。
ツモは1回のみ。しかし白鳥の手に来たのは、
ではなかった。
その
は、次の西村のツモにいた。
1個ずれていた。白鳥の
は、ツモ筋にいなかった。
試合後、それを聞かされた白鳥は、隣にいた西村の肩を掴んで、悔しさをにじませた。
掴んだのは牌ではなかった
勝ち上がったのは、石原と西村だった。
石原は試合後、聞かれる前から笑みがこぼれていた。
「このメンツで勝つのはうれしい」。事前にXで行われた勝ち上がり予想で、石原の支持率はわずか8%の最下位。本人もXで悔しさをのぞかせていたが、それを見事にひっくり返した。
ぐぬぬぬ
— 石原 真人 (@Go55Issy) October 16, 2026
西村は、入場のときは表情が硬かった。
打っている間は無表情だ。それが試合後は満面の笑顔で、
「ずっとしびれてました」。京都から東京へ出てきて、人生の挑戦を続けている人の笑顔である。
牧野は、闘志を隠し持つような顔で打っていた。
東4局には、3フーロのハネ満テンパイから、ホンイツをなくして
に待ちを替える毒入りまんじゅうのような一手も見せている。
西村は食わなかった。2年前のリベンジを誓った大会で、悔しい結果になった。それでも「すごく気合入ってたし、勝ちたかったんですけどこんな結果になってしまって、リベンジしたい」と前を向いた。
麻雀には、運と不運がある。白鳥はこの日、運に見放された。それでも運のせいにして怒ることも、所詮運ゲーと吐き捨てることもなく、最善を打ち続けた。私は自分への戒めも込めて、そう思う。
白鳥は3着で、勝ち上がれなかった。連盟のチャンピオンが一番だと、証明することはできなかった。けれど、看板を背負う人の打ち方を、私はこの目で見た。
負けられない男は、焦らされても焦らなかった。
最後に掴んだのは、牌ではなく、西村の肩だった。

麻雀歴30年。創設以来のMリーグファン。
麻雀界の深掘り考察をnoteで発信中。












