これぞオーラスの完成品!
矢島、醍醐、むく、西川が
創り出した芸術的牌譜
麻雀最強戦2020
「プロ雀士ランキング
ベスト16大会」
【B卓】担当記者:山﨑和也 2020年4月5日(日)
まいった。このご時世、休みの日に出かけることもできず、
しかし麻雀最強戦が行われていたではないか。ああなんてありがたいんだ。
今回はプロ雀士ランキングベスト16大会からBブロックの模様をお送りする。
多摩区ナンバー1雀士、むく大樹(麻将連合期首順位2位)
対戦を控えた本人のツイートでは「必死なマージャンを打ちます」と宣言。正直、筆者はこの日を迎えるまで存じなかったのだが、この場に立つ者は全員が実力者だ。多摩地区は広いぞ。
インファイト風雅、西川淳(日本麻雀連盟期首順位3位)
実力もさることながら、その見た目、声からアナウンサーのようだと感じた。前日、将棋界を舞台にした『聖の青春』をご覧になったようで、筆者の好感度が爆上がりである。まさしく風雅。
鳴きファイター、矢島亨(日本プロ麻雀協会期首順位2位)
仕掛けと鳴きを得意とし、混一色と対々和は麻雀プロの中で3本の指に入るくらいアガっていると豪語する。本日は得意の仕掛けが見られるだろうか。将棋界の斎藤慎太郎七段のようなスマートな風貌で、41歳なのに筆者(26歳)より見た目が若いのは驚きを禁じえない。
ヒロシBIG ONE、醍醐大(最高位戦日本プロ協会)
3月に行われた最高位戦A1リーグでは半荘1回で10連続アガりをするなど、約11万点を荒稼ぎしたことも。第23回BIG1カップでも優勝を果たしている。この中で最もノッている存在といえるだろう。
以上の4名がひと枠の狭き門を目指して戦う。トップ条件は麻雀最強戦ならではの楽しみだ。生き残りをかけた壮絶な戦いを見届けたい。
まずは東3局から。ここまで平穏な進行となっている。
配牌で目立ったのは醍醐。筒子でまとまっており、混一色に一直線に向かいたくなる。不要な、を早めに切りたくなるが、あえてから。気配を消しながら手を進めていく方針だ。
を引いて打。これで手牌がすべて筒子になった。
親のむくはを残したままイーシャンテン。
最初にテンパイが入ったのは西川だった。一盃口の役があるので出アガリ可能である。打としてダマテンにした。
このに矢島がポンをし、打とした。巡目が終盤に差し掛かり、目まぐるしい展開となる。
むくが矢島から出たをポン。打として形式テンパイにとった。解説の瀬戸熊直樹プロは「この反応はよかったですね」と声を弾ませる。染め手にしている醍醐もはチーしたくなる牌に思えたが、道中のをポンしなかったこともあり、ここは門前でいこうと決めていたようだ。
西川は単騎から待ちに変化。筒子は危険だが待ちの多さを優先する。
が出たのを見て醍醐がついに動く。打として満貫のテンパイ。待ちと広い。
西川のもとにドラのがきてと入れ替え。むくと違ってアガりが利くのが大きい。山にはが2枚あるのだ。次巡にを引いたが空切りでドラ待ち続行。
いちばん出遅れていた矢島も追いかける。をチーして打のイーシャンテン。
「醍醐さんを持ってきたとき……」と瀬戸熊プロがつぶやいたところで醍醐がを引いた。出せば西川のアガりだ。自身の手が高く、待ちも広いため、出てもおかしくない。
しかし、醍醐は小考で打とし耐えた。「おお~っ」と実況の梶本琢程プロ。これでラスト1枚のを引く争いになった。
一体誰が勝つのか。むくはを引いてきた。醍醐が筒子の染め手濃厚なだけに、めちゃめちゃ怖い。
構わず押していく。「おお~っ」「いったいったいったっ」と実況席が湧いた。
矢島にもテンパイが入った。なんとこれで
全員テンパイでの流局となった。いやはや、強者同士がバランスを取り合って場を保っている様を見るのは心が躍る。最後のは山に眠っていた。
東3局1本場は西川が醍醐のリーチを300―500でかわし、東4局。