堀に追いすがるは、三者三様の乾坤一擲。負けず嫌い達が織り成した「至極の一局」【麻雀最強戦2023 】 男と女のデスゲーム 観戦記【決勝卓】担当 渡邉浩史郎

堀に追いすがるは、
三者三様の乾坤一擲。
負けず嫌い達が
織り成した「至極の一局」

【決勝卓】担当記者:渡邉浩史郎 2023年9月10日(日)

「スター性の差で負けるなと思いました。」

試合後のインタビューで、堀は開口一番に答えた。

完璧なゲームメイク、大幅リードで迎えた【南3局】
ここさえ落とせば安泰も安泰という局面で、配牌も良好。そんな堀に待ち受けていたのは……

堀にとって唯一の懸念材料であった、親番:伊達の大物手炸裂。6000オールは一気に堀へと急接近だ。

親番が残ったものにだけチャンスがある1対1の構図。これは伊達からすれば席順が決まった時から望んでいたことである。

伊達か、堀か。そんなムードがにわかに立ち込める。

【南3局1本場】
注目の伊達と堀の配牌。

 

わずかに堀優勢といったところだが、その違いはほんの僅か。

 

堀が伸びれば伊達も伸びる。シーソーゲームの裏側で……

松本の手牌に2つ目の暗刻が完成。

日向も七対子イーシャンテンのところに、貴重な打点の種のドラを引き入れる。

不穏な空気がにおい立ってきた中……

まさかの先制聴牌は日向! ドラドラ七対子のハネマンツモ和了りが決まれば、オーラスにマンガンツモ条件が残る!

しかしこの時、日向が見据えるは……

さらなる高みへ! メンホン七対子まで上り詰めようという、覚悟の聴牌外しだ!

もちろんただの無謀ではない。

ここで打点を挙げる大きなメリットとして堀以外からの出和了りの時の条件緩和が挙げられよう。手が入った松本や伊達から字牌がツモ切られる未来は十分にあるため、考慮に入れる必要がある。

現状の点差は27300。
8000を堀以外から出和了りしたらオーラス倍満ツモ条件になるが、これが12000の出和了りならハネツモ、16000出和了りならマンガンツモでトップになる。

日向の乾坤一擲、今の手牌に身も魂もささげたこの選択が……

この聴牌まで持っていく! リーチ・メンホン・七対子・ドラドラ! 現状で出和了りでも倍満、ツモって裏裏なら三倍満、一発で堀を逆転せしめる!

これは他家から見てもただごとではない。現状の点差を考えると、日向のリーチは確実に本物。

当然、堀慎吾も躱しに行く。タンヤオの聴牌は現物待ちの【4ピン】【7ピン】

しかし次巡に引いた【西】で堀の手が止まる。

日向の高打点リーチは河を見るにソウズのホンイツが濃厚。しかし堀の目からは【6ソウ】が全部見えており、ソウズの真ん中は分断されている。

「ほぼメンホン七対子だろう」

堀の中には確信に近い読みがあったという。
聴牌料を貰えればオーラス伊達のマンツモ条件を消せるため、取れる聴牌は取りたい。しかしこの【西】は余りに本命であると同時に、ここで聴牌を取っても次の字牌で結局回れない形になってしまう。

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