乱戦を制した鈴木たろう ゼウスと暴君の明暗を分けた、たった一つの選択【Mリーグ2024-25セミファイナル観戦記 4/8 第1試合】担当記者 #東川亮

乱戦を制した鈴木たろう

ゼウスと暴君の明暗を分けた、たった一つの選択

文・東川亮【火曜担当ライター】2025年4月8日

朝日新聞Mリーグ2024-25セミファイナル。

4月8日は、KONAMI麻雀格闘倶楽部TEAM雷電が初戦を迎えた。すでにスタートを切っている渋谷ABEMAS赤坂ドリブンズは、いずれも前日に大きくポイントを減らしている。

各チームの勝ちたい思いがぶつかった一戦は、高打点が飛びかう激しい展開となった。

第1試合

東家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

南家:日向藍子(渋谷ABEMAS)

西家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)

北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)

東1局、たろうはカン【3マン】待ちのファーストテンパイを取らず。このままだと役なし愚形待ちで打点もアガリ率も低い、価値の乏しい手。そこで手牌をロックするのではなく、より良い形、高い手を目指す。

たとえば【5ピン】を引けばピンフ高目三色、打点も待ちの良さも、カン【3マン】待ちとは大差だ。

それをすぐに、しかも赤で引き入れるたろう。

手応え抜群のリーチは・・・

安目ながらも一発ツモ、そして裏1。

リーチツモ一発ピンフ赤裏の3000-6000は、目先のテンパイよりもアガれる高打点にこだわる、たろうらしいアガリとなった。

東2局、点数を持ったたろうが面白い一打を見せる。ネックのカン【4マン】を引き入れてテンパイ。【4ピン】を切ればピンフドラドラ赤の満貫テンパイだ。ダマテンでも打点十分、あとはリーチかダマテンか・・・。

じっと場を見たたろうは、リーチを宣言。

しかしその宣言牌は、【4ピン】ではなく【赤5ピン】だった。ドラを切ってピンフを消す、2翻ダウンのリーチ選択。しかしこれは、高打点をアガりたいたろうならではの狙いがある。

まず、【3ピン】【6ピン】待ちに受けた場合の最終手出し【4ピン】は周りからあまりにも警戒されるところ。先に【7ピン】も切っていて、【3ピン】【6ピン】などはかなり待ち候補として濃厚となり、相手から切られるケースは少なそうで、自分のツモだけでアガリを目指さなくてはいけないだろう。

そして、赤切りのリーチはまたぎが当たりづらいと言われる。455や556と持っていたら、基本的には打点を確保するために赤ではないほうを切ってリーチするからだ。逆に【1ピン】【4ピン】【6ピン】【9ピン】などは読みスジに入るが、今回は【1ピン】【7ピン】を切っていて【4ピン】は中スジ。【赤5ピン】切りリーチに対しては盲点となりやすい。

【6ピン】3枚見えで【3ピン】【6ピン】が薄いことも考慮した上で、アガリを目指したリーチ判断。思いつきはすれど、人はやはり打点や形で【3ピン】【6ピン】に受けがちだ。

結果は流局だったが、たろうの自由な発想が興味深い一局だった。

試合はこのまま、たろうペースで進みそうな展開。

しかし、そこに瀬戸熊が待ったをかける。

東2局1本場に日向から8000は8300をアガると、

東4局2本場には伊達との【赤5マン】の引き合いを制し、3000-6000は3200-6200。供託もさらい、たろうを逆転して南場を迎える。

南1局は親番の伊達が細かいアガリや流局で粘るも、3本場でたろうが日向からダマテンの三色赤ドラ、8000は8900を出アガリ。

日向としては、仕掛けている伊達の現物かつリーチの瀬戸熊のスジということで致し方ない放銃に見えるが、ともかくこれで持ち点がマイナス域へと沈んでしまう。

南2局、後がない親番の日向はチートイツで進行する。2巡目で1シャンテンになるもそこからもたつき、8巡目にメンツができる【7ソウ】を引いた。重なりを期待するには難しい牌ではある。

日向はここで打【9ソウ】とした。

チートイツを見切り、タンヤオへと切り替える選択だ。

シャンテン数は後退しているが・・・

タンヤオであれば仕掛けを使っていくことも可能。

タンヤオドラ赤、2000オールのアガリは、日向の形にこだわらない柔軟な発想の賜物だ。彼女とて、チーム状況を考えればこのまま終わるわけにいかない。

だが、やはりこの試合はたろうと瀬戸熊のゲームになった。

南2局1本場では、日向がたろうに放銃すると、裏裏で8000は8600に。

迎えた南3局では、瀬戸熊がピンフドラドラ赤をツモって4000オール、

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