麻雀プロが本気で麻雀AI・NAGAに学んでみた~ 第4回「NAGAの疑問手」

─はじめに

このコラムは一人の若手麻雀プロが、麻雀AI・NAGAに魅せられ、AIと共に世界最強雀士を目指す物語である。前回の連載はこちら

「AIに場況判断や差し込みってできるの?」

nさて、今回は麻雀AINAGAの疑問手について紹介したい。

聴牌したらリーチ、1シャンテンでも高い手なら押し返し、不利な勝負は回避を淡々と続けるのがNAGAの基本スタイルだが、
時折「それ本当か?」みたいなシーンに直面することが多いのもまた事実。
NAGAが投げかけてくる「謎」に、現代麻雀小僧代表として立ち向かう姿を是非皆さんにも見届け、一緒に考えてほしいと思う。

今回はこちらのシーンを考えてみよう。

【2マン】【3マン】【4マン】【6マン】【2ピン】【2ピン】【3ピン】【3ピン】【4ピン】【4ピン】【6ピン】【6ピン】【3ソウ】【5ソウ】 ドラ【5ピン】
・自分はタンヤオ一盃口の2600聴牌、立直時は5200~
・両面変化は【2ソウ】のみ(ツモ【6ソウ】はフリテン)
・他家はまっすぐ進めており変則手進行はいない

私は麻雀を覚えてこの6年間、様々な本や周囲の教えを請い、
現代麻雀というものをなんとなくではあるが理解しようと努めてきた。
その俺の6年間が「こんなのリーチだろ!!!」と叫びたがっている。

しかしNAGAの選択はダマ。違和感の塊のような選択だ。
これは現代麻雀への挑戦状か・・・?
立直をすれば低5200の超勝負手、かつ変化はツモ【2ソウ】の両面1種と、【3ソウ】【5ソウ】のシャンポン変化2種のみ。

確かに愚形の456待ちはアガリ率が著しく低くなるため
とてもいい待ちとは呼べないが、それでも2600でロンと言うわけにもいかないだろ───

そして行き着く結論は「今回ばかりはNAGA間違ってるのではないか…」ということ。
しかし、自分の麻雀観に背く判断を「間違っている」と毎回切り捨てていては進歩のしようがないのもまた事実。

ここは一つ、「何故NAGAはダマ判断なのか?」を探っていくこととしよう。

謎に遭遇した際の研究方法は以下だ。
その局面の要素を一つだけ変えて
NAGAの判断にどの程度の影響があるかを観察し
NAGAが評価している要素を洗い出す

現代麻雀のプライドを懸けた、絶対に負けられない闘いがここにあるのだ。
さて順番に見ていっていよう。

Case.1/待ちをカン【2ソウ】の2600にした場合


→これは即リーチ推奨だ。感覚的にも分かりやすく、
多くのプレイヤーが同じ選択を取るだろう。
わかりやすく言うなら、
「2600という打点自体をそこそこ評価している」
「愚形28待ちの強さを評価している」というところだろうか。

Case.2/点棒状況を2着→ラスに変えてみた場合


この場合は流石にリーチになるかと思いきや、なんとダマ続行。
まさに胆力の鬼である。
リーチしてツモれば満貫確定の聴牌をダマ2600であがりきるのだろうか..
それにより、
「点棒状況も判断要素ではあるものの、最も重要とはとらえていない」ことが分かる。

Case.3/待ちをカン【6ソウ】にした場合


元々のカン【4ソウ】とカン【6ソウ】でそこまで大きな差はないだろう..と考えていたが、
この場合は意外にもリーチに転じた。
カン【4ソウ】とカン【6ソウ】の差として挙げられるのは三色変化ただ一点のみであり、
一手替わりの平和・三色をかなり厚めに評価しているように見える。
1種しかない変化の為にダマを選択しているとすると非常に驚きだ。

今回の結論としては、
・NAGAは愚形456待ちへの評価がとても低い
・現状の聴牌価値がアガリ率視点で低い場合、
 変化が少ない場合でも高打点変化狙いでダマ選択をすることもある

といったところだろうか。
かなり賛否両論分かれる、かつ一般化して取り入れるハードルも非常に高い判断であろうことからおススメはできないが、
こういった謎に頻繁に遭遇するのもNAGA学習の醍醐味であると私は感じる。

一般にリーチ判断を考えるときには
「今の打点が何点か」「手替わりする牌が何種類あるか」といった視点で考えがちだが、
NAGAの場合はそうではなく、
「この聴牌はアガれるか?」という視点で判断しているように見えた。
現代麻雀の常識を覆すヒントが隠されているようにも感じ、
個人的には非常に面白いシーンだったので紹介させていただいた。

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