レギュラーシーズン突破へ──第1ラウンド開幕──【Mリーグ2024-25観戦記 3/7 第1試合】担当記者 小林正和 松ヶ瀬隆弥 vs 佐々木寿人 vs 菅原千瑛 vs 堀慎吾

レギュラーシーズン突破へ
──第1ラウンド開幕──

文・小林正和【金曜担当ライター】2025年3月7日

暦(こよみ)の上では春。しかし、3月とは思えぬ寒さが続いている。時折、温もりを感じる瞬間があったものの、今週明けには東京にも季節外れの雪が降った。その寒暖差に翻弄され、私はあえなく風邪を引くことに。
何とか観戦日の金曜日には回復の兆しが見えたのだが、週末にはまたしても雪予報──。春の訪れは、まだまだ遠いようだ。

第1試合

東家:松ヶ瀬隆弥EX風林火山
南家:佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部
西家:菅原千瑛BEAST X
北家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ

本日の第一試合。そんな降り続く雪のように、開局から冷たい逆風にさらされ続ける者がいた。

それは皮肉にも、桜の開花を今か今かと待ち侘びる“桜騎士団”の声援を背に戦う、KADOKAWAサクラナイツ堀慎吾であった。

東1局

試合スタートの合図から僅か数分余りで
リーチ・一発・【發】・ドラの8,000点。
放銃者は堀である。早くも寿人に満貫分の点棒を差し出す形へ。

一部例外はあるものの、基本的にアガリには4面子・1雀頭が必要。その候補の一つとして手残りした【發】がタイミング良く一発で御用となってしまったのだ。

もし、この放銃を避けたかったのならば…5巡目に2枚切れの【北】と入れ替えていれば防げていたかもしれない。しかし、冷静に考えてみると、この一連の放銃シーンには次のような高難度の条件が揃っていた。

① 比較的、河の情報が少ない早い巡目でリーチを受ける。
② 自身の手牌にリーチ者の現物牌がゼロであり且つ、くっつきのイーシャンテンになった瞬間。
③ 場に1枚切れの孤立字牌が、一発でロン牌となる。

これら三段階を経ての放銃である以上、ほとんど気にする必要のないものだと言えるだろう。もちろん堀自身も、その現象については重々承知している。しかし──。

今日の表情や、指先に込められた繊細な力の変化。普段とは違う何かがあった。堀を、そう奮い立たせたものとは…

それは…こちらのチームランキングに他ならない。

昨年9月に開幕し、半年以上にわたって激動の戦いが繰り広げられたレギュラーシーズン。各チームが96試合を戦い抜く中、試合は残り12戦を切ろうとしている。それを“もう”と捉えるか、“まだ”と捉えるか──その判断はチーム方針によって異なるだろう。しかし、ただ一つ確かなのは、この一戦のトップが、セミファイナル・ボーダーに位置する渋谷ABEMASの背中を確実に引き寄せるということ。

それはKADOKAWAサクラナイツだけに限った話ではない。本対戦カードのEX風林火山BEAST Xにとっても同様である。ましてや、ABEMASは二試合先に多く消化しているのだ。

(今夜、一気にポイントを積み上げることができたなら…。)

チーム最多出場となる29戦目。全チームの一人あたり平均試合数が20試合程度であることを考えると、森井監督の期待の大きさが見て取れる。

(しょうがない放銃…それは中盤戦まで許される!でも今日は、とにかく結果!!)

そんな勝利への執念がヒシヒシと伝わってくる。
しかし、その熱い想いを溶かすように、堀に冷徹な氷の洗礼が襲ったのであった。

開局の満貫放銃に始まり、東2局では菅原に2,600点、続く東3局では親・菅原の2,000オール。まさかの三局連続の失点に沈む堀。しかし、そんな悪夢を断ち切るかのような”夢の光景”が目の前に広がったのは東3局1本場──。
7巡目にして、夢の国士無双13面待ち・イーシャンテン”である。ここまで無慈悲に削られた点棒を、一気に取り返すチャンス──ドリーム・ステージであった。

だだし、一つ気掛かりなのは…

 

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀シリーズ 新刊情報/