3種類のマジックが炸裂!魔法使い園田賢があなたのハートをエクスプロージョン☆【熱論!Mリーグ/FS第12節】

熱論!Mリーグ【FS第12節】

3種類のマジックが炸裂!

魔法使い園田賢があなたの

ハートをエクスプロージョン

文・ゆうせー【FS第12節担当ライター】2019年3月10日

 

ファイナルシリーズ12戦目

 

「わたし、園田 賢!」

 

「こっちは白鳥の翔」

二人とも、麻雀中に魔法が使えるように修行しているの!

今日はMリーグファイナルステージのちょうど折り返し、12戦目。

今、私の所属している赤坂ドリブンズは首位だけれど、優勝するにはもっともっとポイントを伸ばさないといけない。この試合も頑張らなくっちゃ!!

(上記の音声は筆者のアテレコです。ずっとこのノリではさすがになにかとキツいので、ここからのハイライトは私視点の、普通の文体に戻します。)

 

1.マジカル園田の幻惑魔法『先切りコンフューズ』

園田は東1局に1300-2600をツモアガって先制に成功。迎えた東2局の親番7巡目。

園田はここでを1枚外した。はそれぞれ1枚ずつ切れていて、シャンポン受けのロスは計2枚しかない。待ちが残ったときの強さを優先した。

こういうカンチャン含みのイーシャンテンで、リャンメン固定の先切りをすることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれない。どうせリャンメンが先に埋まるよ…そう思ってしまいがちではある。

しかし、現状のイーシャンテンの形、

…8枚  …4枚

の計12枚でテンパイするのだが、そのうち先にが先に埋まる確率は、

12分の4、つまり3分の1=約33%。

今の形のままでも3回に1回はで良い待ちのリーチが打てる。

そう考えるとかなり多いように感じないだろうか?

また、この手のマンズ部分は、

とかなり変化が期待できる形だ。

このような形になれば先にマンズが埋まることも多くなり、この巡目での先切りが活きてくる可能性がさらにアップする。

ここは園田、あえて手牌に不必要なを残してを先に切り、出アガリをしやすくする魔法を河にかけた。

次巡、

アッサリとをツモ!ツイているのは間違いないが、この33%のツモを想定して先切り出来ていることが素晴らしい。

「クルッ」

「パシッ」

流れるようなモーションから、小気味いい音を立てては卓へと置かれた。

裏は乗らずに2600オールの追加点。

このような切り順を相手に見せておくことで、「園田は先切りもしてくる」と焼き付けておくのもリーグ戦では大事なことだ。

続く東2局の1本場、9巡目の園田の手牌、

を引いてきてこの形。先切りするか…?

ここは園田、を切ってを手にとどめた。

その理由は河にあった。

赤丸で囲った部分を見ていただくと、ピンズがたくさん切られているのにも関わらず、も切られていないことが分かる。山にいそうな4枚の受け入れを消すのは、いかにももったいない。

また、前局のピンフ手と違って、今回は役牌がアンコで仕掛けも効く。他家からリーチが入った場合にポンして捌くこともあるだろう。

他家を困惑させるよりも、自身の攻撃力を高めることを優先した。

この手を園田、終盤に入ってもを見向きもせずにスルーし、

を引き入れてリーチに仕上げた。後手を踏まない限り、仕掛けることはせずリーチにまで持っていく。そうすることでアガリ時の打点を最大にしようという意図だろう。

ちなみに、この切りリーチのマタギ筋はの2筋。先ほど外しておいたのマタギ筋はの1筋。こちらのの方がリーチ宣言牌まで引っ張った際に打てなくなる筋が多い。だから、ソバテンだと読まれたところで、それはそれで相手としてはやりづらい。

逆に、先ほどのは宣言牌にしてしまうといかにも危険なをガッチリ止められてしまう。だから先ほどは、より先切りに傾く、というのも1つ言えることだろう。

園田のアガリに対する嗅覚は実に鋭い。

前局の手は、強い受けを固定して出アガリ率を高めることが「アガリへの正着」であり、

今局の手は、受け入れ枚数を最大にして、テンパイ率を高めることが「アガリへの正着」

だと考えているのだろう。

ここは幻惑魔法は使わずに攻撃魔法を唱えて踏み込んでいった。

しかし、相手も黙ってはいない。ここで立ちはだかったのが、

美しき狂戦士、高宮だった。猛然と追っかけリーチを繰り出し、

一発ツモで3000-6000!ファイナルに入ってから、高宮の攻めの鋭さに一段と磨きがかかっているのを感じる。

めくり合いに敗れて、少し悔しそうな表情を浮かべる園田だった。

園田はこの後の東4局にも、

この巡目にドラの守備的先切りを見せ、形の良いピンズと場況の良いマンズにアガリを求めた。しかし、テンパイまでいったところで白鳥に1300を放銃。原点付近の2着で南場を迎えることとなる。

 

2.マジカル園田の防御魔法『ビタ止めアイビリーヴ』

園田が親番の南2局

自風のをポン、でチーしている高宮が待ちテンパイ。

でチーしている滝沢は、でアガれるタンヤオのテンパイ。

子方2人が園田の親番を蹴りにきた。

しかし園田は当たり牌のを止めて切りリーチ!

勝負してきた高宮からをとらえ、

裏ドラも1枚乗った。園田がここでトップ目に立つ。

南2局1本場

この局は、3着目の滝沢が積極的に進める。

高宮が2巡目に切ったこのを、滝沢がポン。

をトイツ落としして、ソウズの染め手模様だ。

一方、園田の手はチートイツのイーシャンテン。ドラが手にあるのでこれを活かすことが出来れば、大物手をアガるチャンスだ。

9巡目につかんだも切り飛ばしていく。

しかし、

白鳥が切ったこのを滝沢がチー。

を手出しした。

2巡後、園田が引いた牌は、

なんとドラの!チートイツドラ3のテンパイ。ダマで12000、リーチをしたら18000だ。どうするのだろう…

園田は長考に入った。高宮は滝沢に対して危険な牌を切っていない。ここは、滝沢の河と白鳥の河を見て、記憶にある手出しとツモ切りとを手掛かりに、答えを探す。

園田のこの表情は私の記憶にない。はたして何を考えているのだろうか。

滝沢の仕掛けを何度も見つめたあとで、出した園田の結論は、

え!テンパイを崩した!! 今までのMリーグの試合でも、幾度となく鋭い踏み込みを見せてきた園田が、リーチをして18000の手をまわったのだ。

白鳥と滝沢の河を見ながら、園田がまわった理由を考えてみよう。

白鳥の河(2枚目に切ったの前巡に、を滝沢にチーされている)↓

滝沢の河↓

まず、

①『切る候補のの危険度があまりにも高い』

ということだ。

滝沢はをポンしてを手出ししている。は確実に手牌に関連する牌だろう。

そして、ポンする前に園田が切ったと、2副露してから白鳥が切ったには反応がない。

このことからのポン時に、

から

を打ったケースが消えて、

からの切りと、

からの切りのケースが本線だと考えられるのだ。

(白鳥が1枚目のを切ったときにも滝沢は反応していないことからの線は少し薄くなるが、そのあとは手出し。あとからを引いたケースも十分に考えられる。)

2つの本線と考えた形のうち、はどちらのケースでも当たり牌となってしまう。また、からの場合はシャンポン待ちが残る可能性が高いので、そうなるともう片方のシャンポンの待ち候補としても危ないということになる。

さらしている部分がのポンとのチーということもあって、ほかの部分のソウズエリアにかかわってくると、ション牌のはどちらも切れないということと合わせての判断だろう。

そして、

②『通したとしても、アガリが見込める待ちではない』

こともあげられる。

が通ったら、残る待ちのパターンの多くに絡む、での出アガリがものすごくキツくなる。が通ってのも同じことだ。例えば、仮に自分が待ちで相手が先ほど挙げたような待ちだったら、自分が不利なのは火を見るより明らかだろう。

①、②を合わせて、

「通す牌がまず危険で、通してもアガリはかなり厳しい」

といえる状況なのだ。

さらに、

③点棒状況とチーム状況

も、迂回を後押しする。

点棒状況的には、この半荘、微差とはいえ現在トップ目だ。ここで3着目の滝沢の染め手に放銃してしまうと、2着どころか3着や4着に転落する恐れが出てくる。

しかも、ライバルであるトータル2位のEX風林火山を押し上げるのは、シリーズ制覇を考えても避けたいところだ。

論理的に考えるとそうだ。しかし、この親ッパネの手を崩したい人など誰もいない。「いかないほうがいい」わかってはいるが、テンパイを外すには激しい胸の痛みが伴う。

『自分の読みを信じろ…信じるんだ…!』

手の誘惑に負けないために、園田は自分自身に魔法をかけた。

そうか。先ほど園田が長考中に初めて見せた顔付きは、勝負手をオリなければならないことに対する苦悶の表情だったのだ。

このとき滝沢の手は、

のシャンポン待ちだった…!園田がテンパイをとっていたら、間違いなく放銃していたのだ。

枚数の少ないアガリ牌を止められた滝沢はアガることが出来ず、この局は流局した。

苦しみと誘惑に打ち勝って、自分の読みを信じた園田の見事な当たり牌ビタ止めであった。

続く南3局も、

ここからを切ってタンヤオに向かう仕込みをして、

まずはポンから、仕掛け攻撃魔法発動!

続けてもポン。

ここは危険度で打を先に処理。

我々の目にはタンヤオだと見えているが、他家の目にはどう映っているだろうか。

ドラが字牌ので、ポン、ポンと2つ仕掛けられるとトイトイの線も消せなくなってしまう。このあたりが園田マジックの上手いところで、ナメられないように仕掛け方にも、もちろん注意を払っているのだ。実際このとき他の3人の手にはが1枚ずつ。他家の進行はグッと遅くなってしまった。

そして次巡、

あっという間にテンパイ。ここをかわし切れて1局消化出来ると大きい。

次の巡目に、場に良さような待ちに受け変えた。

しかし、これがなかなかアガれない。そして、

「リーチ」

ラス目の親番白鳥が、ション牌のドラを勢いよく横に曲げてリーチをかけてきた。

ここはABEMASとしても正念場。この親を簡単に落とすわけにはいかない。

2巡後、

園田が白鳥の当たり牌、を持ってくる。

ここも園田は読みに入る。押せるか…。時間をかけて推理していく。

ここもまた苦渋の面持ちで園田は、

を止めた!

ピンズの真ん中から上のブロック()は白鳥に危険なエリアだ。まして、相手は親リーチでこちらはトップ目。打ってしまった場合には一気に転がり落ちてしまうことも多いだろう。

も通りそうではあるが単騎はフリテン。自分がフリテンであるのなら、を切る軽微なリスクですら追うのは損だ、という思考だろう。

ここもまた、園田は自分の読みとゲームメイク力を信じて自分自身に魔法をかけて、気合のオリを見せたのだった。

この局は白鳥と滝沢の2人テンパイで流局した。最後の最後までどうなるか分からない展開だ。

 

☆ちょっと休憩☆

ほおを膨らまながら、河を見て読みに入っている高宮。美しい…

 

3.マジカル園田の攻撃魔法『ドラ切りエクスプロージョン』

園田はトップ目とはいえ、全く安心できない点差だ。南3局の3本場

園田はこの手格好からドラのを光速で切り出した。

ソウズもピンズも1枚外してしまうと裏目の枚数が多い。ブロックが決まったここは、自分がアガリ切って供託と積み棒をライバルに渡さないのが狙いだ。

すぐにドラがかぶるが、前巡には他に切るものがないので全く後悔はしていないはずだ。むしろ、誰にもポンされることがなくなったのだから少し安心ともいえるだろう。

8巡目に、

園田にテンパイが入る。ここはカン待ちのダマテンを選択。アガリたいとはいえ、ここでリーチを打った場合には、ラス目で親番、オリることのない白鳥の猛攻撃を受ける羽目になる。白鳥に放銃してしまったら一気にラスまで転落することすらある。

ノベタンのように枚数がそれなりにあって勝算が見込める待ちならリーチにいっただろう。愚形リーチは避け、ダマでのツモと引きの手替わりを待った。

しかし、ここで高宮からのリーチが入る。シビれる展開だ…!

次の園田の手番、

高宮からリーチが入るとまた話が変わってくる。この半荘のトップ率だけを考えると、ここは追っかける方がいいと感じる。高宮にアガられると自身のトップが遠のくため、愚形待ちでもぶつけて供託や積み棒をもぎ取って高宮のアガリを潰しに行くのが良いだろう。

しかし、これはリーグ戦だ。ここでリーチの高宮に放銃すると3着まで落ちる可能性もある。また、先に述べた白鳥の押し返しも必至だ。前門の虎、後門の狼。二重の危険が待っていることになる。

自分が現在トップ目である以上、愚形待ちのこの手はダマにしておいて降りられるルートを残しておく方が、連対率やラス回避率の観点から考えても無難ではあるだろう。風林火山よりも下の着順になるのを避ける、という側面もある。

園田は切りのダマ続行とした。

しかし、無情にも高宮がをツモ切る。

(俺は、やっちまったのか…)

思わず目を瞑る園田。

そしてその後、追っかけリーチを打った白鳥が高宮のアガリ牌をつかんでしまう。

裏ドラが1枚乗って3900は4800とリーチ棒2本をゲットし、高宮がトップに躍り出て、オーラスを迎えることになる。

 

オーラス

この局は、トップ争いを繰り広げる高宮と園田に、どことなく似たような手が入る。

まずは高宮、7巡目にチートイツイーシャンテンになった。

高宮の選択は…

ドラの打だった。チートイツは仕掛けが効かない。そのため、アガリへの速度やテンパイ料が重視される、オーラスのトップ争いには不向きな手役。チートイツはあくまでも保険だ。

両面が3つで仕掛けの効くこの手。アガリトップのこの局面は、タンヤオの3シャンテンとみて全て仕掛けていくのがいいだろう。

を切って、チートイツのイーシャンテンにはとりつつも、タンヤオにならないの受けを拒否して喰いタン本線で進めていく。

一方、園田の8巡目の手牌、

こちらもタンヤオチートイツイーシャンテン。園田はどうする…

なんと河には、炎のように赤いが!

先ほどの高宮の手でも書いたように、トップ争いをしているオーラスではチートイツは極力避けたい。タンヤオのリャンシャンテンにとるのだが、強い部分のリャンメンターツを固定するのが良い。の比較で、場に出にくいを切る。

…となるのだが、園田はではなくを切った。1300点差なので、をリリースしても条件はもちろんクリアしている。

こうしておくことで、本来ならば手の内でを使うはずの、ターツやターツが無いように見せるのが狙いだ。

打点を少し犠牲にすることで待ちが破壊的にアガりやすくなる攻撃魔法

を、園田はここぞという場面で唱えたのだった。

その後、園田はをポン。

を切ってイーシャンテンに。

高宮からが出て、

園田はチー。

を切ってテンパイにとった。

もちろん、チーをすればテンパイ。しかも待ちは両面だから、鳴き判断自体は普通だと感じる。トップ争いをしている高宮は、テンパイが入っていたら本線でも勝負してくれる可能性は高い。

しかし、この切り順になることを考慮して、園田はをスルーした方がよかったのではないだろうか。

が先切りしてあるを鳴いてを手出ししまうと、ターツが十分だったことがバレてしまう(先切りして撒き餌をするくらい、ほかのターツが揃っていたと読める)うえ、チーした後の最終手出しがになってしまう。タンヤオが絡むマタギの待ちはしかない。

せっかく「出アガリ率劇的アップ」の攻撃魔法をソウズターツにかけたからには、イーシャンテンで使ってしまわずに、最後の待ちにできるだけ取っておきたい。そのためにもうワンポイントだけ工夫すべきだったように感じる。

さて、テンパイした園田がなかなかアガれないまま、終盤に突入。

ここで白鳥、園田に通りそうで高宮に危険なを切る。「対面から遠隔アシスト」の補助魔法を使った。

白鳥はこの半荘、自分の着順アップは絶望的になってしまった。それならば、現在首位のドリブンズよりも、他チームがトップを取った方が良い。

的確に相手のブロックが読めるからこそ、このアシストができる。

これを高宮がポン。これでイーシャンテン。

高宮、15巡目にテンパイが入る。待ちは

親番の滝沢も、

最後のツモ番でカンを引いてテンパイ!滝沢、高宮、園田の3人テンパイで流局でもう1局か…

と、思ったそのとき、

「パシッ」

東場で聞いたことのある音が、再び卓上に響いた。

ハイテイで園田のツモアガリ!!見事再逆転で、自身ファイナルシリーズ初のトップを飾った。

点棒のやり取りを終えた園田は、「フゥーッ」と一度、大きく肩で息をした。

勝利インタビューで、「次の試合までも研鑽を積み重ねていく」と語った園田。

こんなにも強いのに、魔法使い・園田賢はまだまだ「魔法の修行」を積み上げていくようだ。

今日の素晴らしい試合内容を目の当たりにして、『早く次の魔法が見たい!』と、誰もが心待ちにしているに違いない。

前半12戦でみるみるうちにポイントを積み上げ、4位スタートから首位で折り返した赤坂ドリブンズ。

ファイナルシリーズ後半も、ドリブンズの麻雀の魔力から、目が離せない。

 

ゆうせー
京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。

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