アマ最強位・ももたんが示した
柔軟かつ重厚な連覇への王道
【決勝卓】担当記者:東川亮 2023年10月29日(日)
麻雀最強戦 全国アマチュア最強位決定戦。
他のプロ大会とは違い、優勝のためには2連勝あるのみという厳しい戦い。
その第一関門を突破した4名が、ついに出そろった。
杉谷剛。
A卓では冷静な押し引きで失点を防ぎ、勝負どころでは鋭く踏み込んで勝利を手にした。過去にこの舞台を経験しているのもアドバンテージ。九州から全国を制することができるか。
MAYJUNC。
自身が手掛ける麻雀アパレルブランドの名をひっさげて参戦。B卓では最後の最後に勝負強さを発揮して逆転勝利を飾った。
すでに宣伝効果は抜群だが、ここで雀士としてさらに大きな勲章を手に入れたい。
中山祥太。
北の大地で雀力を育んだ彼は、いつだって冷静で、柔らかな雰囲気を漂わせている。
しかし、これから臨むのは決勝の舞台。普段通りでも、熱を帯びても、その姿は魅力的に映るだろう。
ももたん。
前年度アマチュア最強位は、ディフェンディングチャンピオンとして決勝に帰ってきた。
打ち回しも盤石、史上初のアマ最強位連覇へ、懸かる期待は大きい。
この4人が、今年の最強候補。予選に参加した全ての人々の思いを乗せて、最後の戦いが始まる。
東1局1本場。
下家の杉谷がと仕掛けてマンズのホンイツ模様のところで、ももたんはを切って手牌を2シャンテンに戻した。このままの進行であればマンズが余る上に打点も待ちも満足のいくものになりにくい。それであれば、を雀頭にしてマンズの受け入れを残しつつ、タンヤオに寄せて打点を作るという構想。
この選択がこれ以上ないほどツモとかみ合った。と引き入れてテンパイ。ダマテンでもタンヤオピンフドラが確定、なら三色、ならイーペーコーと、どちらも出アガリ満貫。もとより打点は十分、ここはアガリ率を重視してダマテンに構えた。
高目でツモって6000は6100オール。東1局にして、ももたんは十分過ぎるリードを得た。3者が等しく離されたことで、ここからはまず、ももたんへの挑戦権を巡る争いとなる。
東2局3本場。
2メンツあってドラトイツと勝負手模様の中山は、を引いてターツができたところで目いっぱいの切りとせず、ソーズからを切った。瞬間的な受け入れ枚数が減り、ドラの暗刻も瞬間的には受け入れられなくなるが、それ以上に待ちをアガリやすくする先切りの一種。
から入ってタンヤオ確定は絶好。待ちは打点上昇を考えても文句なしのリーチだ。2巡前にノータイムでツモ切ったも利いてくるか。
結果は、そんなことなどお構いなしの一発ツモで3000-6000の3本場。最終形は同じかもしれないが、手順に意志があるアガリだ。
こうなると、置いて行かれた杉谷・MAYJUNCは苦しくなる。
東4局、MAYJUNCに選択。チートイツとメンツ手の両方が見える形で、チートイツに手役を絞る切りを選択。ドラそばで持たれているケースが多い、という判断だったかもしれないが…
これが完全な裏目。メンツ手に振り切ってを切っておけば、ペン待ちテンパイで一発ツモだった。
思わず端正な顔がゆがむ。もちろん、彼ほどの打ち手であれば、こんな裏目は過去に何百回と引いてきているはず。しかし、この舞台での裏目は過去の何よりも重いかもしれない。
杉谷は南1局2本場で、MAYJUNCとのめくり合いを制してリーチツモ一発タンヤオピンフの満貫をアガる。
もちろん、本人としてもこれで迎えた親番を逆襲の舞台としたかったはずだ。しかし南2局は、ももたんの打ち回しが秀逸だった。
中盤に差し掛かるところで、をカンチャンでチー、タンヤオに向かうが、
を切って受け駒を持ち、目いっぱいには構えず。
を引いたところでを離し、はテンパイ打牌まで温存した。この局は杉谷が早々にを鳴いていて、鳴かれそうな牌をギリギリまで絞った形だ。
追う立場の中山も、ドラがトイツでのシャンポン待ちリーチは自重。アガリや打点は欲しいが、無理な勝負はしない。