かくも美しき 絡み合う刹那の因果 ももたんが震える手でつかみとった、アマチュア最強の頂 #麻雀最強戦2022 【 #アマチュア最強戦 】観戦記 担当記者 #東川亮

かくも美しき
絡み合う刹那の因果
ももたんが震える手でつかみとった
アマチュア最強の頂

【アマチュア最強戦】担当記者:東川亮 2022年11月6日(日)

筆者は、2年前から麻雀最強戦予選に参加するようになった。昨年は東東京、今年は西東京の地方最強位決定戦に進出するも、準決勝までたどり着けず、会場を後にした。

一方で今年は、東京・飯田橋の「麻雀ロン」東京・赤坂の「麻雀HOLIC」にて運営・黒子として予選運営に携わり、いろいろな角度から最強戦の参加者たちを、いろいろなドラマを見てきた。今回の「全国アマチュア最強位決定戦」に進出した打ち手の中には、見知った顔もあるし、実際に同卓した者もいる。

麻雀界において「トップ取り一発勝負」という戦いのフィールドはほとんどないし、だからこそ最強戦は尊い。予選には何度も参加できるシステムだが、それでもどこかで必ず、勝たなければいけないのだ。

厳しい戦いを勝ち上がった全国の猛者16名が集まり、トップ取りの戦いを経て、最終決戦に臨む4名が決まった。

A卓勝者、中国最強位・はや。

アマチュア最強戦常連の山越貴広、本職は医者である吉野総平、弱冠18歳・河野尊との一戦は、各者が高打点のアガリを決める接戦となったが、はやが要所でのアガリを決めて押し切った。河野や吉野も意地を見せたが及ばず。オーラスのドラポンから逆転条件クリアを狙った山越も、最後ははやのダマテンにつかまり、悲願のアマチュア最強位獲得は5度目の挑戦でもならなかった。

B卓勝者、大阪最強位・藤谷雅彦。

序盤から東東京を勝ち上がった福の神がリードする展開となったが、1万点台から徐々に加点していった藤谷が、南2局のアガリでついに逆転。そのまま逃げ切って決勝進出を決めた。東北最強位として挑んだ橋本拓也はアガリに恵まれず無念の敗戦。昨年に続いてこの舞台に臨んだ木戸憲幸は、オーラスで福の神の逆転リーチのロン牌【8マン】を最後まで止め続けたが、テンパイには至らなかった。

C卓勝者、北関東最強位・ももたん。

一進一退となった攻防を繰り広げるなかで、南3局に余りなしのホンイツ満貫を決めて抜け出し、熾烈な戦いを制した。最強戦予選で全国を回るという黒沢義之は、たどりついたアマチュア最強戦の舞台でアガリなしという厳しい結果に。細かく加点してトップを狙っただいにゃんも一歩及ばず、鈴木博彰は倍満ツモ条件のオーラスでホンイツチートイツをリーチしてツモるも、裏ドラが乗らず敗れた。

D卓勝者、南関東最強位・吉田稔。

前年度覇者のパタ☆ロッソ、前年に続く出場となったラッキースリーに続く3番手から、親番でのリーチ攻勢で一気に逆転。南場でも自らのアガリで局をつぶし、勝ち上がりを決めた。カードゲームのプロプレーヤーという経歴を持つ斉藤徹は終始展開が厳しく、最後まで吉田を捉えるには至らなかった。

戦いの銅鑼が響き渡る。

アマチュア最強は、誰だ!

とにかく攻めたい吉田稔

東2局1本場
前局のリーチが一人テンパイに終わった吉田が、この局はカン【5ソウ】チーから動き、ホンイツに向かう。

その後はスムーズにテンパイ、親リーチの後に【1ソウ】【北】待ちから【2ソウ】【5ソウ】【8ソウ】待ちへ変化させる選択もあったが、自風【北】での打点アップを狙ってか、シャンポン待ちを続行。

【2ソウ】ツモでのアガリを逃したが、リーチの藤谷から【1ソウ】で出アガリ、加点に成功する。

東3局、いったんはももたんに逆転を許した吉田だったが、ここもするすると伸び、5巡目にして役ありテンパイ、待ちやリーチ判断に選択が生まれる。

吉田は【7マン】を切ってのダマテン。リーチ【東】の2600スタートではなく、ドラの【中】単騎で6400、ツモって満貫確定のルートを選んだ。リーチや仕掛けを多用するばかりが攻撃ではない。攻めの姿勢は一貫しているものの、その方法は多様だ。

道中で【東】を暗槓して打点が上がったが、【6ソウ】を引いたところで待ちを【6ソウ】【9ソウ】に変え、リーチと踏み切った。ソーズの見え具合から、【6ソウ】【9ソウ】待ちへの感触があったか。この時点で山には4枚、ツモればテンパネで満貫スタート。

時間はかかったがこれをツモり、2000-4000。

普段は会社を経営しているという吉田。経営・ビジネスと麻雀の親和性は、2014年の最強位・藤田晋が折に触れて力説している。その感覚を、彼も持っているのだろう。多彩な攻めのベースにある強気な姿勢は、一発勝負において最も重要なのかもしれない。

守備型はや、一刺しのルートは誤らない

麻雀最強戦では、東場では画面右上に親番の打ち手の情報が表示される。東4局、はやの親番では「雀風:守備型」と表示されていた。だが、一発勝負で2万点以上離されている状況、東場の親番とはいえ、守備ばかりを考えてはいられない。6ブロック進行で攻め筋を模索する。

打点の種となるドラ【5マン】を引いたところで【北】のトイツ落とし。ブロック候補をドラに求める。

残したドラに【6マン】がくっつく。これで4メンツ1雀頭の方向性が定まった。

下家の吉田が仕掛けて役ありテンパイ、上家ももたんも役牌を鳴いているが、テンパイで追いついたならリーチだ。待ちを選べるが、【4ピン】切りの【7ピン】待ちか、【8ピン】切りの【5ピン】待ちか。いずれにせよスジ引っかけになっており、どちらも対面の藤谷が1枚切っている。

はやの選択はカン【5ピン】待ちでのリーチ。吉田の【3ピン】【6ピン】手出しからピンズの上を持たれていそう、あとは手出しで【4ピン】【2ピン】を切っていての【4ピン】切りリーチだと、【4ピン】【6ピン】【8ピン】からの切り出しが読み筋に入る、という思考か。【5ピン】は山に残り2枚、対して【7ピン】は1枚。残り枚数は多い方を選んだ。

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