テンパイを外す覚悟、三色を追う決断─ 黒沢咲と石井一馬、勝負の先に待つ明暗【Mリーグ2026-27 観戦記 10/20 第1試合(麻雀ch)】担当記者 飯盛裕美子

トップ目の阿久津が【3ソウ】をつかむ。黒沢が8000点を直撃!

2巡目の先制リーチを受けながら、一度はテンパイした手を崩し、さらに価値の高い手を作り上げた。

この8000点には、経験に裏付けられた判断や手牌の構想力、そしてチームに少しでも多くのポイントを持ち帰ろうとする姿勢が凝縮されているように思える。

黒沢らしい打点へのこだわりと、勝負に踏み込む強さを感じさせる一局だった。

 

■ 上下7100点差、運命のオーラスへ

阿久津から黒沢への満貫直撃によって、4人の点差はさらに縮まった。トップとラスの差はわずか7100点。誰がトップを取ってもおかしくない状況だ。そんなオーラスで最初に動いたのは一馬。役牌の対子さえないところからペン3sをチーし、ホンイツへ向かう。ホンイツのみの2000点でもトップに届く。

その後、【白】が重なったところに、たろうから【白】がツモ切られ、これをポンしてイーシャンテン。

一方黒沢は、一馬に切りづらい【中】を対子にし、【5ソウ】単騎で勝負の七対子リーチ。一馬が索子のホンイツに向かっているのは明白だが、ここは勝負を懸ける。

その宣言牌の【8ソウ】を一馬がチーしてテンパイ。待ちは黒沢が対子で持っている【南】の単騎だ。黒沢の【南】単騎、一馬の【南】単騎。アガリ牌はどちらも山に1枚ずつ。麻雀の神様はどちらに微笑むのか。

ほどなくして黒沢が【南】をツモ切り、一馬が3900点を直撃。このアガリでトップに浮上し、見事な逆転勝利を飾った。

高め三色を追ったリーチは実らなかったが、最後は遠くから仕掛けたホンイツを実らせ、3900点でトップをつかみ取った。

高打点への選択が実を結んだ黒沢はラスに終わり、三色のアガリを逃した一馬は、最後の3900点でトップを勝ち取った。

 

■ 最下位JETSに届いた、待望のトップ

最終結果は一馬が1着。最下位に沈むEARTH JETSにとって、一馬のトップは大きな意味を持つ。

前日にはHIRO柴田がトップを獲得しており、これでチームは2日連続のトップ。苦しいシーズンを戦うJETSに、少しずつ明るい兆しが見え始めている。

一方、覚悟の8000点を決めた黒沢は、惜しくも4着となった。

しかし、私には黒沢のテンパイ外しも、一馬の三色への手組みも、同じくらい強く心に残っている。

麻雀の選択は、アガリの有無や最終着順だけでは測れない。 何を優先し、何を捨て、どんなアガリを目指したのか。その意図・選択の理由にこそ、打ち手の技術、個性、感情が表れる。

高打点を追い求めた二人は、最終着順では明暗が分かれた。それでも、二人の選択には、結果だけでは語り尽くせない面白さがある。

 

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