光届かぬ深海に手を伸ばせ〜魚谷侑未、会心の名譜を刻む【麻雀最強戦2026 超技巧合戦】観戦記【B卓】文:千嶋辰治

光届かぬ深海に手を伸ばせ
〜魚谷侑未、会心の名譜を刻む

【B卓】担当記者:千嶋辰治 2026年11月1日(日)

現役Mリーガー3人を抑えて、勝者予想で堂々40%の支持を得た魚谷侑未。
この数字、皆さんはどのように感じられるだろうか?

王位、日本オープンというオープンG1タイトルをはじめ、MリーグでもMVPを獲得するなど、数々のタイトルを奪取してきた魚谷。
その実績を買われたと言うのもあるだろうが、40%もの支持を集めた理由はきっとファンの期待の表れだろう。

魚谷は常々、Mリーグへの復帰について思いを口にしている。
そのためにはタイトルを獲り、力を示さねばならない、とも。
麻雀最強戦は1989年のタイトル設立以来、女性で最強位に就いたのは2005年の二階堂瑠美ただ一人。
もしも魚谷が最強位戴冠となれば、そのアピールには絶好の材料となる。

しかし。

魚谷自身が語っているように、いつまでもチャンスがあるわけではない。
今やMリーガー候補はどんどん増えており、虎視眈々と機を伺う麻雀プロは日を追うごとに彼の地は遠ざかっていくばかり。

悲壮なる思いをしっかりと抱きしめて、戦いの舞台に最速マーメイドが降り立つ。

東家:阿久津翔太(日本プロ麻雀連盟)
南家:魚谷侑未(日本プロ麻雀連盟)
西家:石井一馬(最高位戦日本プロ麻雀協会)
北家:鈴木優(最高位戦日本プロ麻雀協会)

・最良の手順、当然のリーチ。しかし…

東1局。

起親の阿久津翔太が【1マン】と【<img class=のトイツ落としからしっかりと手を作ってピンフドラをテンパイ、7巡目にリーチを放った。
対局者には2種のトイツ落としがかなりの迫力に映っていることだろう。
リーチをかけた阿久津自身も、これは手応えがあるものだったに違いない。
しかし、これが出もせずツモれもせず。
おまけに、

戦闘民族 鈴木優がドラ2枚を使い切って手を仕上げ、自信満々の追っかけリーチ。
よもやこれが放銃みたいなことになれば不条理極まりないが…

阿久津の最後のツモは無情にも【7ピン】。そして、優の手が倒される。

リーチピンフドラ2の8,000点。

最良の手順を踏み、当然にリーチを放っただけの阿久津。
それでも、麻雀は厳しい現実を突きつける。
阿久津の日ではなかった、と一言で片付けるのは簡単だ。
だが、それにしても… 阿久津の心情はいかばかりだろうか。

開局早々、大きなビハインドを背負った阿久津は最後まで劣勢を跳ね返すことができず敗退。
逆に優はリードを得て勝負を有利に運んでいく。

・恐るべき魚谷の大局観

魚谷は大きな失点はないものの、先手を取れる速度に恵まれなかった。
矢継ぎ早に飛んでくる相手の攻撃を受けるので精一杯。
半荘1回のスプリント戦では、このままズルズルと何もできないケースはあり得る。
どこかで攻勢に転じなければならないのだが…。

そんな魚谷が自ら展開をこじ開けたのは南1局2本場。
この局における魚谷の大局観が見事だった。

このゲームは毎局のように役牌の仕掛けが乱れ飛んでいた。
この局もトップ目の優が1巡目に【白】を一鳴きして局消化を目論む。
魚谷はこれまでこういった軽くて早い仕掛けに出番を封殺されていた。

これが魚谷の配牌。
字牌が程よく手牌に混ざり込んでいてスピード感に乏しい。
果たして、優の速度に敵うのか?

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