小川光が
一発勝負の舞台で見せた
押すという勇気のかたち
【決勝卓】担当記者:うめきち 2026年11月1日(日)
長く戦うなら押さない。一発勝負だから押す。選ぶ勇気は、舞台に合わせて形を変える。
超技巧合戦の決勝で、私がいちばんしびれたのは、この三つの文を一人の打ち手が牌で見せてくれた南2局だった。
小川光。大きなトップ目の親番で、ラス目のたろうがリーチを打ってきた。そこへ小川が切ったのが
だ。あなたなら、その牌を切れるだろうか。私は切れない。切れないと思った牌を、小川はノータイムで切った。
最強位の背中を見ながら四人が座った
今年の最強戦は、桑田憲汰が三連覇している。すごい。すごいのだが、ほかのプロは何をしているんだ、とも思ってしまう。このまま四連覇でいいのか。桑田を倒すのは誰なのか。それが今年の見どころだと私は思っている。
そこで始まったのが超技巧合戦だ。読んで字のごとく、高い技術を持ったプロが技を競い合う大会である。決勝卓には、その名にふさわしい四人が座った。
鈴木優は、2008年にアマチュアで決勝まで進み、最強戦の申し子と呼ばれた男だ。二つ名は戦闘民族。攻めの強さが売りである。
鈴木たろうは第15期の最強位。ところが2023年は、オーラス開始時にトップだったのに、桑田に2800点差で逆転されて2着だった。あの悔しさを、今も腹の中に持っているのだと私は思う。
魚谷侑未の二つ名は最速マーメイド。優の弟子でもある。Mリーグを契約満了で離れ、直前に公開したnoteには、チャンスはいつまでも続かない、満足するなという気持ちで臨むと書いていた。親友の松田彩花は、もうファイナルを決めている。
そして小川だ。RMU所属、令昭位。紹介動画で本人は、令昭位を取ったころからウィッグをつけ始めたこと、外に出るのもけっこう嫌なくらい悩んでいたこと、そのストレスがなくなってよかったことを話していた。物静かな話しぶりで、熱を胸の奥にしまっているタイプに見えた。
東場は小川が構想力で光る
東2局、小川はダブ
をポンし、さらに
を加カンして、たろうから7700をアガった。
と
のターツを崩し、ドラを必ず使おうとしていく手順は、見ていて勇気がいる。
最終形まで見えていないと打てない手順だ。
東2局1本場は、優がホンイツの鋭い仕掛けで8000(+300)。
小川はダマからリーチに回る手順が
味わい深かっただけに、惜しい放銃だった。
流れを変えたのは東3局だ。優が親番で先制リーチを打つ。
一方、前後するが小川は配牌からの第一打に
を切っている。
チートイツとホンイツの両方を見る構想力の光る一打である。結果は小川のホンイツ
ドラ3、優から12000のハネ満。
東4局は、小川が先制リーチをツモった。
リーチツモドラ1裏3で3000・6000。このとき、優は一向聴から
、
、
とほぼノータイムで押していた。戦闘民族の押しもすごいが、それを上から飛び越えるように裏が3枚乗る。二つ名は裏ドラ増量中。名前負けしていない。
南1局を終えて、小川は49400点。小川が、一人だけ遠くへ行っていた。
南2局
を切った
親番。トップ目。2着とは27800点差。普通なら、ここは静かに局を流したくなる場面だ。
ところが小川は、リャンメンのチーからテンパイを入れて、
2900をアガりに行く。何もさせないよ、という手である。血も涙もないと言いたくなるが、悪口ではない。勝負に徹する人の強さのことだ。
と
の待ちから、
をツモって
をノータイムで切り、
と
の待ちに変えた。
なら親のハネ満になる形だ。考えると手を読まれる。だから最初から決めていたのだろう。スキがない。
そこへ、ラス目のたろうがリーチを打つ。
メンホンで
もあって、ドラドラ。カン
待ちのハネ満だ。
小川の一発目の牌は
。
マンズのホンイツ模様の相手に、同じマンズだ。少し考えて、潔く切った。
さらに、たろうに通っていない
と
を引いてくる。小川は全部、押す。











