今度こそ、と思わずにはいられない。アガリ牌は、なんと山に5枚。
先ほどのように王牌に閉ざされているわけではない。十分な枚数を残し、内川はツモを重ねていく。
だが、引けない。5枚ものアガリ牌が山にありながら、そのうちの一枚すら内川の手元には届かなかった。
結果は流局。
この次局、内川は仕掛けてテンパイも入れるもそれもアガれず、親が落ちてしまう。
■ 最後に待っていた、地獄単騎
迎えた南4局。チームがマイナスしている中、こんな結果では終われない。
内川は、ここでも巧みな手順で手牌を仕上げた。
メンツ手進行をしていた内川、平和イーペーコードラ1程度を想定していた思われるが、ドラの
をツモ。
正直使いにくい。だが自身の持ち点やチーム状況を考えればなんとしてでも使い切りたい。タンヤオ変化も見込んだか、![]()
を切っていく。内川の意思に応えるように、その後のツモが噛み合い七対子をテンパイする。
リーチ・七対子・ドラドラ。待ちは
の地獄単騎。アガリ牌は残りたったの1枚だが、内川はリーチを宣言する。なあに、1枚あれば十分である。
そして、その最後の
を握っていたのは、トップ目の岡田。内川が求めてやまない一枚が、ついに姿を見せる可能性がある。
しかし、岡田にとって守るべきはトップの座。内川のリーチをどう読んだか定かではないが、岡田は徹底してベタオリを選択する。
は最後まで河に放たれることなく、そのまま流局。
岡田はトップを守り切った。終局後、カメラが捉えた岡田の何とも言えない表情が、張り詰めていた勝負の空気を少しだけ緩ませる。
一方、内川は最後の最後までアガリをつかめなかった。
■ 技術を尽くしても、勝てない日がある
最終結果は岡田がトップ、東城が2着、瑞原が3着、内川が4着。
内川は▲47.1ポイント。最下位に沈む風林火山にとって、さらに厳しい結果となった。
振り返れば、内川には何度も勝機があった。
待ち枚数で勝る追っかけリーチ。高め三色の勝負手。山に5枚残る親番の先制リーチ。そして、最後に選んだ西の地獄単騎。
もちろん、すべての選択が最善だったかどうかは、また別の問題だ。
それでも、手牌を仕上げ、アガリへの道を切り開く技術と、そのアガリを実際に手にできるかどうかは、必ずしも一致しない。
王牌に眠っていた3枚。山に残された5枚。そして、岡田の手の内にあった最後の
。
どれも内川の手組みだけでは、どうすることもできないものだった。
勝負の世界は、時に残酷だ。積み重ねた選択が必ずしも報われるとは限らない。
しかし、だからといって、アガれなかったという結果だけで、その選択の価値まで失われるわけではない。
和了ゼロという数字には表れない、内川幸太郎の麻雀がそこにはあった。

飯盛裕美子(いいもり・ゆみこ)1989年6月7日生まれ(平成元年)広島県出身。
創形美術専門学校卒業後、アニメーション制作会社、雀荘店員、グラフィックデザイン事務所、建築会社等を経て、現在は赤坂麻雀ラウンジぷろすにマネージャーとして従事。その他麻雀大会や麻雀イベントの運営、持ち込み企画など精力的に活動している。











