西原理恵子 & 山崎一夫 ギャンブルが 仕事になる瞬間!! 運まかせでは勝てない!?

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第13回】

ギャンブルが 仕事になる瞬間

ぼくが最初にギャンブルにハマったのは学生時代。
歌舞伎町のゲームセンターにあったロタミントと言うコインゲーム機でした。

横回転式のスロットマシンで、3つの絵柄が揃えばコインが出る。
路上でサンドイッチマンのアルバイトをやっていた時に、これにハマっている客さんを観察してて、攻略法に気づいたんです。

絵柄が2つ揃ってリーチは良くかかるんですが、3つ目がなかなか揃わない。
注意深く見てると、狙った絵柄を機械式に外す仕組みになっているようでした。
たとえばチェリーを揃えようとして狙うと、たいていオレンジが出て外れてしまうとか。

「だったらオレンジでリーチがかかった時に、チェリーを狙えばいいんじゃないか」

この推理が的中! どんな絵柄でも百発百中で揃えることができたんです。

攻略法がバレないように、数日おきに少しずつ勝つようにしたり、店を変えたりしていたんですが、数か月後には歌舞伎町の全店で出入り禁止になってしまいました。

ところが意外なところで同じマシンを発見。何軒かのスナックでは百円玉で勝負ができたんです。
わはは。

勝った大量の百円玉を店で両替すると目立つし、ポケットに入れ過ぎると破れてしまうので、専用の麻袋まで使ってたんですが、こちらもやがて出禁になってしまいました。
この後、今のパチスロの原型の回胴式のスロットマシンが登場した時も、ほぼ同じ攻略法が使えました。

ただし、回転の方向が違うので、目押しのレベルをだいぶ上げなくてはいけません。
やはり全店出入り禁止

やむなく京都の四条河原町まで出張。
数台掛け持ちで打って、全台パトランプ点灯のビッグボーナスだらけ。
ナイアガラの滝のように、コインを出して、1日に数店出入り禁止になってしまいました。

えー、ギャンブル中毒の話のつもりだったんですが、ただの自慢話になってしまいました。

確実に勝つんだから、どちらかというと仕事中毒ですね。

出入り禁止は、その後ぼくがパチンコの銀玉親方になっても数回続きました。

「パチンコ必勝ガイド」末井編集長(当時)といっしょに、パチンコの攻略法を使っていたのがバレたからです。

教訓

●運まかせでは勝てない。
●ハウスに勝つのは、ゴト師なみ情報と技術が必要。
●目立たないように、細く長く稼ごう。
●でも最後は、人でなしになってカッパギ。

ギャンブルとビジネスの 大きな違いは?

末井さんは、30歳代にはすでに大成功をしている名物編集長でした。

「写真時代」などのサブカル系の雑誌を次々とヒットさせており、おそらく日本の編集者のなかで最高クラスの所得があったと思います。(今も)
知りあったころの、末井さんのぼくに対する印象は、すこぶる悪かったそうです。

「あのころはオレ、ギャンブルなんか軽蔑してたもん。人間のクズがやるもんだと思ってた。 ところがパチンコを覚えて、あっという間にギャンブル中毒になっちゃった」

末井さんの場合、出世する能力とギャンブルの成績はあまり関係ないようです。
でも、パチンコ中毒になったからこそ「パチンコ必勝ガイド」がヒットしたんでしょうね。

ほどなく末井さんは、普通のギャンブルだけでなく、さらに危険度の高い投機型の投資にもハマってしまいました。
先物取引とか不動産投資がそれ。

「先物取引は儲かるって聞いたんだけどなあ…」
「誰に?」
「営業マンに」

先物取引が本当に儲かるんなら、営業マンが自分で取り引きすればいいと思うのは、ぼくだけではないと思います。

「不動産こそ、絶対に儲かるって聞いたんだけどなあ…」

バブル崩壊当時の不動産投資は、末井さんだけでなく、ほとんどの投資家が大損してるので、末井さんだけが特にウカツだったワケではありません。

「さすが末井さんだな~」

ぼくが感心するのは、末井さんは当時の借金をかなり踏み倒したから。
末井さんのように、定期的に高額の所得がある人は、なかなか借金をチャラにしてもらえません。

「取れるところから取る」

というのがどの金融機関でも基本方針になっているからです。

「末井さん、よく借金が踏み倒せましたね」
「いや、○○銀行なんか、毎月一万円ずつ二百年くらい先まで払うことになってるよ」
「それを踏み倒したって言うんです」

末井さんは友人が経営する小さな出版社にも投資してますが、こちらはまずまずのようです。
ギャンブルもビジネスも、リスクとリターンの構造は似たようなもの。

ギャンブルのテラ銭の代わりに、ビジネスでは金利や手数料がかかることが多く、儲けるのは簡単じゃありません

決定的に違うのは、ギャンブルで勝って喜ぶのは自分だけですが、ビジネスの場合は仲間や取り引き先やお客さんまで喜ぶ点じゃないでしょうか。

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2010年12月1日号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門は毎週水曜更新!!(次回は9月5日更新予定)

関連記事

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第12回】
さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第14回】

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀戦術シリーズ 新刊情報/

    1 個のコメント

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です