いずれにせよギリギリの打牌だが、それだけたろうの手を阻止する価値が高いとも思っていたことだろう。
そして、親番の白鳥までも、
テンパイにこぎつける。待ちにもとれるが、たろうの最終手出しをみてソバテンをケア。を止めてを打ち、カン待ちとする。ドラも赤も持っていない白鳥。最大限の警戒をしつつ、自身がツモったときにはアガれる構えをとった。
たろうをきっちりマークしつつも、全員が全員テンパイをとってきた。すごい。すごすぎる。
僕は祈った。お願いします…たろうにどうかアガらせてください…。
アガったのは…
「ツモ」
たろうだ…!2000-4000のツモアガり。
「やったー!!!ほら!やっぱりすげーんだよ、ゼウスは…」
横を向いた僕の視線は空を切った。いつもなら、「そうだね!すごいね!!」って一緒に喜んでくれるのに…。
【南1局】
落ち込む僕。それでも目はモニターから離れない。
たろうのこの理牌。とを隣に並べることでを、とを隣に並べることでを、それぞれチーするとき、牌をカチャカチャさせないようにしている。
鳴くときになってから離れている2牌をつまんで鳴いてしまうと、食い伸ばしだと疑われてしまって、メンツ構成がバレたり、待ちになったときに出にくくなったりしてしまうのだ。
僕、友達とセットする時に、よく離れた牌をチョンチョンとつまんで鳴いて、「あ、まだその辺もってるだろ、たろうは食うのホントへただなー」って言われちゃうんだよな…気を付けないと。
食うの、か…そういえばちょっと小腹が減った。なにか冷蔵庫にないかな。
冷蔵庫の扉を開けると、ケーキの箱があった。開けてみると、そこには洋梨のタルトが2つ。アイツが買ってきてくれたのか…さすがにこれを食べるわけにはいかないな。
洋梨…ん?もしかして…用無しってことか…僕は捨てられてしまうのか。
襲いかかる漠然とした不安。なんて言えば、僕は彼女に許してもらえるのだろう。
【南2局1本場】
焦りを隠せない僕。そんなとき、親番のたろうにテンパイが入る。
は1枚切れ。ドラ1あるので即リーチか…
慌てず騒がず、たろうの選択は打でイーシャンテン戻し。巡目も早いので、とへのくっつきを狙う。両面になったときには、ピンフがつくだけでなくアガリ枚数が増えることによりツモアガリへの期待も持てる。
おぉ…
狙い通り。絶好のを引き入れてのリーチだ。
こう構えておく理由はもう一つある。親番のない瀬戸熊、現状ラス目の石橋、直撃が狙えるようになった白鳥、各人とも手が入ったら押し返してくる可能性が十分にある局面だからだ。愚形リーチは極力避けて、押し返しに備えたい。
この3者で、手が入ってしまったのが、