やっぱり
多井隆晴は強いんです!
ケタ外れの勝率を証明する、
1ミリの隙も見せない闘牌
文・渡邊浩史郎【金曜担当ライター】2021年3月5日
26戦トップ9回、トップ率35%で260.0ポイント。
仮に皆さんがMリーグに出てこの成績だった時、どう思うだろうか。
恐らくだが多くの人が「調子がいい」「ツイてる」「上振れ」だと思うことだろう。
実際にこの成績を上げている男は「ちょっと下振れ」と言い放った(らしい)。
リップサービスという面も当然あるだろうが、この言葉を放てるだけの強さと凄みが堀にあることは皆さんもご存じのとおりだろう。
同じ成績をもらって「下振れ」と言い放てる人はそういない。が、他に言える人がいたとしたらそのうちの一人は間違いなく
初年度レギュラーシーズンMVP、2019も安定して200ポイント近くを叩いている。
今年の成績は連対率こそ1位だが21戦トップ5回の116.7ポイントと、多井にしてはまさに「下振れ」と言えるかもしれない。
しかし初年度終盤の4連勝を含む11連対など、終盤の多井はまさに鬼神のごとき強さを発揮する。帳尻合わせというわけではないが、ここぞという場面では必ず勝ってきた男だ。
そんな二人のぶつかり合いが見どころとなるかと思われたこの半荘。早速見ていこう。
3月5日 1回戦
北家 堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
【東1局】
まず聴牌を入れたのは親の多井。
ドラドラ赤の配牌からよどみなく聴牌にたどり着き、
を切ってカン
の即リーチ。
を早く切っている人が二人おり、カン
が愚形ながら悪くないのも即リーチに行きやすくさせている。まずは先制パンチを他家にぶつけにかかるが……
ここに追いついたのが堀。こちらもドラドラ、カン
のリーチをぶつけに行った。
似たような形の二人の捲り合いになるかと思われたが……
萩原が後方から追いつく!
そして多井が一発で
を掴んでしまう!萩原のリーチ・一発・タンヤオ・赤の8000のアガリだ!
親の5巡目リーチを打てたにも関わらず、まずは多井の大きな失点となってしまった。
【東2局】
この局、まず動いたのは堀。
役牌の
をポンしてこの形。一見して愚形残りの千点だが、堀はドラの
を使っての高打点やピンズのホンイツも当然視野に入れているだろう。そして何よりドラが役牌
のこの場面での副露は他家にもプレッシャーだ。
この仕掛けにいち早く反応したのが多井。
この手から多井はなんと
切り!!
場にはマンズが安く確かに
はアガリへの本線では無いかもしれない。そして
は仕掛けた堀の第一打が
のため裏筋だ。堀の手が早いパターンであれば非常に危険、切るのであればいち早く処理したいところだ。
しかしだ。多井は前局に満貫を放銃して一人沈んだラス。しかも絶好と思われるドラドラの先制リーチを蹴られた形での放銃だ。そして迎えた今局のこの手から
を先処理するのは非常に難しい選択だ。
実際多井の読み通り、堀の手はソーズの上のターツを含んだイーシャンテン。そして多井のツモ筋には狙い通りマンズがザクザクと眠っており、
結果この形のアガリ。なんと裏ドラ表示牌までマンズ、しかも僥倖の裏裏でハネマン!!
場を読み切る力もさる事ながら、眼を見張るのは満貫放銃程度では決して揺れないその胆力。これぞ麻雀界を背負う男のアガリだ。
【東3局】
先ほどハネマンをアガった多井の配牌は……














