岩﨑 32400点
渡辺 39000点
渡辺は岩﨑と6600点差。手牌を伏せて流局させれば、決勝のステージに行ける。
ここで岩﨑の配牌

ドラ3枚をもらう。逆転には十分すぎる手だ。
2巡目にを重ね、ポンの準備。でもその必要はなかった。6巡目、

3枚目のを持ってきて暗刻にする。決勝卓への準備は万端だ。
だが渡辺の手も進み、10巡目、

カンのテンパイ。さらに手牌を変え、終盤の14巡目、

待ちのピンフのテンパイを入れる。
ここで瀬戸熊からが出るがスルー。手牌を伏せての流局か、岩﨑直撃を狙う。
しかし、

そのを自分自身が持ってくる。

16巡目。あと2歩、たった2歩くぐり抜けて、流局すれば自分の勝ちだ。ここでアガって、もう1局するのは苦しい。だが、その「2歩」の間に岩﨑が来るかもしれない。テンパイしているかもしれない。瀬戸熊も染め手なのは見えている。
渡辺の選択は、

を切り、アガらなかった。
これがキズとなるか? 自分で蟻の一穴を掘ってしまったのではないだろうか?
同巡、瀬戸熊がリーチする。

同巡、福本もリーチ

そして、岩﨑も待望のをチーをしテンパイ。

一瞬にして事実上の三軒リーチに囲まれた渡辺。あと2歩が遠い。
岩﨑の目から見れば、アガリ牌のを瀬戸熊と福本も掘ってくれる状況だ。ただ、ソーズは瀬戸熊の染め手で、
は瀬戸熊もアガれる牌で、
はこれも瀬戸熊が4枚持っている。だがそれでもアガリ牌は
が1枚、ある。
一巡めぐって、海底は福本。福本が持ってきたのは……

。
ではなかった。瀬戸熊だけのアタリ牌だ。
リーチ、ホンイツ、、海底。6翻。裏ドラが4枚乗っても10翻で倍満止まりでトップには届かないが、静かにロンと発声し、牌を倒す。
もし岩﨑が南3局でオリず、戦っていれば――。
負けた岩﨑にはキズが残った。
南4局2本場、
渡辺はツモでアガれたが、それをせず、流局を選んだ。
それが成功し、渡辺は決勝進出を決めた。

渡辺にはキズが残らなかった。
敗者はいつも悔いが残る。
あそこであの選択をしていれば渡辺を捕まえられていたかもしれない。
だが渡辺は最後の「2歩」という長い距離を、全力で駆け抜け、逃げ切った。
このB卓の戦い。4人の強さを実感できたのではないだろうか。
こと、岩﨑はその対局姿を2回しか見せていない。