南３局０本場

下家の多井がポン、ドラのポン、ポンと仕掛けていて、さらに上家の寿人からリーチが入っている。この状況で朝倉、何を切るか。

親に対しての現物はない。また自分はラス目、となればイーシャンテンを維持するしかない。

問題はカンとカンどちらを嫌っていくかだ。

ここで最悪のケースは多井に放銃することだ。満貫が確定しているためオーラスを３着目まで９７００点差で迎えることになる。これはかなり避けたい。

他方、親の寿人に放銃してしまってもまだ最低２局残っている。ドラが見えているので安手もあり得る。

よってここは多井の現物を打った。も比較的早く打たれているのでも通しやすい。またカンはが自分から４枚見えていて良い待ちに見える。

そしてをチー打としてテンパイを取ると

多井から２０００点をアガることができた。

これはただの２０００点ではない。リーチ棒と３着への着順UPによって２１０００点得したことを考えると計２３０００点分の価値がある。ただしオーラスこのままの順位で終わればの話だが。

南４局０本場

オーラス迎えた親番。下家の多井がカンをチー、上家の寿人がポンポンしている。

できることなら赤ドラの手でアガりを決めたいところだが放銃すればラス落ちもある。流局してのテンパイ料でもラス落ちの可能性はあるギリギリの状況で何を切るか。

は多井、寿人どちらにも現物だが朝倉はを切った。

少し巡目が進んでいるが捨て牌はこうなっている。

寿人はを先打ちしてポン打としている。アガリトップでの受けをわざわざ減らしてを残すわけがない。の受けは両面として残っているはずだ。捨て牌を見ても寿人は待ちに見える（実際そうだった）。だがもしかしたらまで伸びているかもしれない。は切りづらい。

また瀬戸熊からリーチが入った場合もテンパイは維持しておかねばならない。を切ってしまうと将来余る牌がすべて瀬戸熊への危険牌だ。

ゆえにと切って放銃を避けつつテンパイを取る道を残した。

をチーしてテンパイを取ると

瀬戸熊のリーチを受けるが、安全牌となったの対子落としをしながら冷静にテンパイを維持する。

結局は瀬戸熊が寿人のアガリ牌を掴んでこの半荘は終了となったが、さすがは朝倉といった粘りを終盤に見せて３着をキープした。

1位：寿人（麻雀格闘俱楽部）+52.4 

2位：多井（ABEMAS）+10.9 

3位：朝倉（Pirates）▲20.0 

4位：瀬戸熊（雷電）▲43.3

この日の主役は誰がなんと言おうと寿人だろう。見事２連勝を決め格闘倶楽部の追い上げムードを作った。

一方パイレーツは３着キープがやっとという状態である。派手なアガりを見せることもなかった。だがこうして観戦記に取り上げることになったのは、私にとって辛抱強く打つ姿がこの日最も印象に残ったからだと思う。

麻雀は良いときばかりではないのは全てのプレイヤーが知っている。そんなときどう打てばいいか？その見本がここにある。パイレーツはこれまで４８戦でラス９回と風林火山の次にラスが少ない。そして最もトップが少ないチームでもある。前半戦を振り返って最も我慢したチームだと言える。派手なことに目が奪われていた方はぜひ粘っている姿にも注目してほしい。

 

梶谷悠介

最高位戦日本プ麻雀協会所属。HNツケマイとして天鳳やブログで一時話題となる。去年パパと麻雀プロに同時なった男。最高位とMリーガーを目指して連続昇級中。

◆大和証券Mリーグ2018　7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり（各種1枚ずつ）。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。

（C）AbemaTV

大和証券 Mリーグ　麻雀格闘倶楽部vsABEMASvs雷電vsPirates

 

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