甦った「セレブ打法」豪快さと繊細さが同居した黒沢咲の押し引き【熱論!Mリーグ】担当記者:山﨑和也

熱論!Mリーグ【Mon】

甦った「セレブ打法」

豪快さと繊細さが同居した

黒沢咲の押し引き

文・山﨑和也【月曜担当ライター】2019年12月16日

勝又「今日は新人君にいい情報を持ってきたよ。今年の麻雀最強位になった人を知ってるかい?」

高野「Мリーグ以外見ないんでさっぱりわかりませんね。沢崎さんとかですか?」

勝又「これが将棋のプロ棋士が本職の鈴木大介九段なんだ。アマチュアがプロ相手に見事な勝ちっぷりで優勝。びっくりしたよ」

高野「そんなすごいことなんですか。その大会はМリーガーは出てるんですか?Мリーガーがアマに負けないと思うんですけど」

勝又「まあそれが麻雀ってゲームだからね。Мリーガーじゃないけど強い人がたくさん見れるから、ぜひ追っかけ再生してみるといいよ。あっ竹書房さん大好きです。来年もよろしくお願いします」

2019年もそろそろ終わりが近づいている。Мリーグも年内残すところあと4日。まだまだ先は長いが、気持ちよくお正月を迎えるのはどのチームだろうか。

今回は1戦目の模様をお送りしたい。KONAMI麻雀格闘倶楽部前原雄大EX風林火山滝沢和典セガサミーフェニックス近藤誠一と好調者が揃う中、一人マイナスに沈んでいたのがTEAM雷電黒沢咲だった。個人スコアは26位。

去年にあれほど見せた華やかなセレブ打法が今年は影を潜めている。消費税増税はこんなところにも影響を及ぼしているのか。冗談はおいて、今回は黒沢の奮闘ぶりを取り上げたい。

東2局。東1局で前原が満貫をアガってリードしている。上図はを引いたところ。一気通貫も見えるが、打とした。すでに赤ドラが2枚あるので無理に狙う必要はない。そう、黒沢といえば赤ドラだ。

親の前原は東をポンしていて、を切ってテンパイ。単騎で待った。どの形が一番アガりやすいか模索していたところに

黒沢が徐々に形を整えて待ちのテンパイ形に。を切って打点十分のリーチをかけた。リーチをかけなくても満貫の手ではあるのだが、それでは物足りないと。

前原もを引いて突如好形のテンパイになる。勝負はわからなくなった。前原が勝てば一気に抜け出しそうだ。

結果は前原がを掴んで放銃となり、黒沢の勝利となった。裏が1枚乗って跳満に階級アップ。黒沢らしさが出てきたではないか。

続いて東4局2本場。東3局では近藤が鬼のごとし強さで一気にトップに立った。前原と滝沢は点数がかなり搾り取られてしまっている。黒沢はこちらの配牌。親を生かしてリーチをかけていきたい。

トップの近藤も緩んだ様子はまったくなし。をポンし、の暗刻を生かして黒沢の親を蹴りに向かう。

先にテンパイが入ったのは黒沢だ。単騎だがさすがにこれではリーチは打てない。

そうこうしているうちに近藤もカン待ちのテンパイが入る。

を引いた黒沢。これは採用したい牌だ。

の5面張だ。なかなかの好形だが、自身の手にかなり使われており、場にも3枚切られている。あまり強くなかったようだ。

アガり牌が次々と脇に流れ、結局黒沢の一人テンパイで流局となった。とはいえ、近藤にアガらせなかったのは大きい。勝負の構図は近藤VS黒沢となった。下位チーム同士の争いで見ている側もアツい。

続く東4局1本場は近藤と黒沢のテンパイで流局。東4局2本場となって持ち点がマイナスになってしまった滝沢が反撃のリーチ。

安定感のある滝沢がここまで沈むのは珍しい。この日は調子が上向かず、後にらしくないミスもあった。

勝負の世界では非情なようでも、調子の悪い者を落とさなくてはいけない。将棋の大名人、故大山康晴十五世名人は対戦相手に苦手意識を植え付けさせるかのように徹底的に勝ちまくり、ライバル達を沈めてトップの地位を長く守った。好調の風林火山を落とすには今がチャンス。黒沢は畳み掛ける。

強気な姿勢が実った。一発でをツモ。これぞ黒沢、これぞチーム雷電だ。

6000オールで一気にトップに立った。しかし近藤との差は近い。前原と滝沢を沈めるのに成功したが、次なるターゲットは近藤だ。

東4局3本場。何とか浮上したい滝沢が一気通貫を狙ってのリーチ。

678の三色が見える前原も、滝沢に振り込むとラスになってしまう。通ったの筋を頼りに打とした。苦しいがここは撤退。

同じくチャンス手が入っていたのは黒沢だ。しかしトップの状況で振り込むと近藤との点差が縮まってしまう。筆者なら今通ったなどを切ってオリていきそうだ。

しかし黒沢はまったく通っていないを押す。恐るべき強気だ。だが、こういった強気なプッシュは観戦者の心に響く。つい先日もそんなことがあった。

そして驚くべきは次巡である。当たり牌のを持ってきたのだが、ここは手の内にしまい込んだのだ。そして打

を持ってきて打。先程のに続いて通っていない牌を、さも安全牌のように切っていく。

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