②たろうが黒沢に放銃した場合
この場合は混戦になるが、失点無しで自身が2着目に浮上する。
親番を流す努力は次局以降にすれば良い。
これはいわゆる“勝又サービスセンター”の応用である。
横移動によるラス率の低下、および着順上昇を狙った「鳴かせ」なのだ。
横移動する甲殻類にちなんで「カニ鳴かせ」と呼ぶことにしよう。
(画像はイメージです。あくまでもイメージです。)
結果は、たろうが黒沢の当たり牌を掴んで放銃。
7700点を献上し、勝又が一時的に2着に浮上した。
「勝又め…あのはプレゼントではなく時限爆弾だったのか…」
たろうの表情もどこか悔しげだ。
(自身の満貫がアガれなかったことの方が大きいかもしれないが)
次局は魚谷の1人テンパイで親が流れ、結果的に1000点の失点で黒沢の親番を切り抜けた。
半荘自体は、この渾身の待ちリーチを魚谷にかわされ、2着にとどまった。
しかし、風林火山は現在トータルトップ。
マイナスせずに1半荘を消化できただけでも、未来への大きな一歩と言えるだろう。
「自分のアガリが見込めない時でも、自分の得になるような打牌はないか?」
「または、他家のミスを誘導できるような打牌はないか?」
勝又のそういった思考が、上述のの“カニ鳴かせ”に繋がり、連対に結びついたのだ。
さて、勝又のこの思考はどこから生まれたのだろうか?
視聴者にとって、勝又の思考を聞く機会は少ないのだが、非常に素晴らしい番組がある。
それがこの生配信番組「ゆーみんと喋りまShow!」だ。勝又はこの番組内で
「自分のアガリ率が2割ならば、残りの8割は他家の足を引っ張るように立ち回りたい」
という趣旨のコメントを残している。
この番組では、勝又の思考をかなり深いところまで聞くことができる。
Freshで無料公開されているため、ファンの方は必見。
序盤こそ下位に沈んだものの、中盤以降、圧倒的な安定感を誇る風林火山。
数々の華々しいアガリの陰には、緻密に練られた戦略が隠されていた。
もちろん、勝又の戦略はこれで終わりではない。また新たな戦略を練っていることだろう。
Mリーグの長い戦いと同じように、軍師・勝又の飽くなき探求心もまだまだ続いていく。
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