熱論!Mリーグ【Thu】
アガれない局はどう動く!?
軍師・勝又の妙技
“カニ鳴かせ”
文・真中彰司【木曜担当ライター】2018年12月13日
12月13日、木曜日。世間的には「ビタミンの日」または「美容師の日」だろうか。
せわしない年の瀬が近づく中、今夜のMリーグは、現在の上位陣による直接対決。
勝又の最大の持ち味は、緻密な読みと大胆な押し引きであろう。
普通は捉えられないような手をアガリ切り、幾度となく視聴者を沸かせてきた。
たとえば、東2局の2本場。黒沢が高め二盃口の待ちでリーチ。
セレブ黒沢がドラのを先に切ってリーチ。これが安いはずがない…場に緊張感が漂う。
さて、勝又はどう受ける?この時点で手牌はイーシャンテン。リーチの現物はのみ。
まずはを落として安全に回っていくが…
ここで無筋のをプッシュ。黒沢のが手出しで、その後にドラのをツモ切っているため、ドラ周りのターツは持っていないと読んだのだろう。
単純にからを外した形も考えられるが、“セレブ打法”の黒沢ならドラのはもう少し引っ張っているはずだ。
そしてテンパイ。待ちのは黒沢の現物で、ヤミテンなら出アガリは見込める。
リスクを取る価値があると踏み、をスッと勝負した。
結果は黒沢からをロンして、2600は3200のアガリ。魚谷の親も流せて一石二鳥だ。
これには厳しいコメント欄も「さすまた」の嵐。
このように、アガリがあると踏んだら、手出し・ツモ切り・人読みなど様々な情報を駆使し、ギリギリまで押していくのが勝又の雀風だ。
しかし麻雀は4人でやる競技。どうしてもアガれない局も多々ある。
実際に勝又の和了率は20.31%(個人10位)なので、残りの約80%はアガれていない。
では、アガれない局はどう打つべきだろうか?
守備を固めて失点を防ぐのも大事だが、他に出来ることはないだろうか?
誰もが抱くこの問いに対し、勝又先生はある1つの解答を示してくれた。
その場面を見てみよう。
松本「勝又先生、ご教授願います!」
場面は南1局。競っている2着目のたろうがをポン、更に自風のをポン。
どこからどう見ても筒子に染めている河だ。
そこにラス目の親、黒沢からリーチが飛んできた。
親リーチを受けた直後、ここから何を切るか?
現物はで、2枚切れのも比較的安全そうだ。
勝又の選択は、通ったばかりのの合わせ打ちだった。
この間、ツモってから打牌まで0.5秒。既に計算は完了している。
このをたろうがチーして、満貫のテンパイを入れた。
傍から見れば、たろうの手をただ進めてしまっただけの打牌。
しかし、この点棒状況では、勝又にとって得になりうる打牌なのだ。
ではこの打について、勝又先生の気持ちになって考えてみよう。
まず一番避けたいのは、ラス目の親である黒沢のツモアガリ。
もちろん、勝又が自力でアガるのが最善だが、今回の手牌では難しい。
そこで、高そうな仕掛けをしているたろうの手を進めることで、黒沢と1対1のめくり合いをするように仕向けたのだ。
この仕掛けにより、2つの可能性が生まれた。
①黒沢がたろうに放銃した場合
勝又から見ればラス目が遠のくため、自身の着順上昇に集中しやすくなる。
たろうとの点差は一時的に離れるが、自分の親番で取り返せば良い。