思わせぶりなブログ、髪型チェンジ、連闘志願…麻雀ファンが魚谷侑未を放っておけない件について【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Thu】

思わせぶりなブログ、

髪型チェンジ連闘志願…

麻雀ファンが魚谷侑未を

放っておけない件について

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2018年12月13日

先日、魚谷は自らMリーグの連闘を志願した。その前日に書き記したブログがこちら。

うーん、なんとも思わせぶり。

 

また、木曜日の試合当日に魚谷はツイッターで、あるアンケートをとっていた。

こんな感じで、魚谷は麻雀をしていない時はかまってちゃんである。しかし、同じようにメンタルが強くない朝倉にも言えることだが、こうやってうじうじすることによって、自身の心の平穏を保っているのだろう。

 

さぁ、1戦目の選手入場だ。今日の勝負ヘアスタイルはツインテールか…

…ん?

おい! ツインテールちゃうやんけ!!!

 

アンケートに関してはブレブレだったが、麻雀はそんなことないよね…? 今日は魚谷に注目することにした。

 

テーマ1 ホンイツ

 

東2局

東場での魚谷の戦術で光ったのが、ホンイツ判断である。

この局、

魚谷が1枚切れのを合わせ打ちしたところ…

勝又がこれを2鳴き。

対して、それを見た魚谷、

をポン。切ったのは…

ピンズのカンチャンを嫌うだった。

 

「最速マーメイド」のイメージから、ストレートに絵合わせしないのか?と

この打牌を意外に思う方も多いはずだ。

 

だが、魚谷はのびのびとホンイツを進めていく。

をチーして、


さらに、も引き入れてイーシャンテンだ。

不敵な人魚の微笑み…

 

さて、この局面でホンイツに向かった判断のポイントは、

①自分が親だということ

②下家の勝又が2鳴きだということ

③現在門前の黒沢とたろうが、重めの手作りをするタイプだということ

 

の3つである。

 

魚谷は親なので、このようなはっきりとしたホンイツ仕掛けをすると他家に与えるプレッシャーが大きくなる。

 

真っ先にマーメイドホンイツの水圧を受けたのが…

勝又だ。を抱えてを切った。

 

「勝又は2鳴き=勝負手ではない」可能性が高い、と魚谷視点で読むことが出来る。魚谷としては、わざわざ安く見える仕掛けをして向かってこられるよりは、ホンイツへ向かって抑え込んだほうがいいという判断だろう。

 

そうこうしているうちに…

を引いてテンパイだ。打。待ちはカン。ソウズが余ったことでさらに抑止力が加わる。

を仕掛けてかわそうとした黒沢、の2枚押すのは非常に厳しい。無念のリタイヤ。

勝又も、1枚切れのこそ少し前に処理できたものの、はそうそう打てる牌ではない。苦しい。

門前で機をうかがっていたたろうも、ヘッドレスのイーシャンテンからを打つのは厳しい。たろうのパンチは重いが、速度的には遅めだ。後手を踏んだ場合にはなかなか親のホンイツには押せない。

 

そして…

 

「ツモ」

なにも軽い仕掛けだけが「最速」手順なのではない。この局のアガリ「最速」は、一見遠回りに見えるホンイツコース。そう魚谷が言っているように思えた。

 

会心の4000オールツモ。全員をオロしてツモアガったその姿には、競技麻雀三冠王の風格が感じられた。

 

ちなみに親が落ちた東3局では、


同じようにホンイツも狙えそうなところから、

としている。自分がリードしている子で、誰も仕掛けていないこの局面では無理にホンイツはしない。それが三冠王のゆーみんメソッド。

ちなみにこの手は10巡目に

見事ピンフに仕上がっている。すごい。

 

テーマ2 焦点の1局(その1)

 

南1局2本場

魚谷がリードして迎えたこの局。まずは、たろうが序盤にお手本のようなホンイツ手順を魅せる。

第1打からペンチャン外し。表示牌に1枚見えているを残して打

続けて打

ナイスキャッチ!自風とはいえ、1枚見え。手拍子でから切り出してしまうプレーヤーも多いはずだ。

このを鳴いて、打。たろうはホンイツへ向かった。

 

この動きに対し、即座に対応した魚谷、

北島康介のような早さでをリリース。自分はダブ赤赤が見える勝負手。相手に重ねられる前にさっさと処理するのが狙いだ。

その後、

絶好のカンを引くも、難しい形だ。

悩む魚谷。導き出した答えは…

6ブロックに受ける打。このときどう考えていたのかを本人に聞いてみた。

 

(※私は、「一視聴者としての目線」で、試合を見て心動かされた選手の打牌判断を観戦記コラムとして書くことにこだわってきました。しかし、やはり打ち手の思考を直接聞いて紹介するのも観戦記コラムの一つのカタチだと思い、今回初めてインタビューを記事に取り入れてみました。試合の後に協力してくれた魚谷選手、ありがとうございます。)

 

魚谷『場況からが信用できなかったのとダブも鳴けるか少し怪しかったので、が先に埋まったときだけダブを落としていき、それ以外はを払っていこうという狙いでを切りました』

 

なるほど、確かに既には場に3枚切れていて薄い。そして、たろうはホンイツをしていてが出るかは怪しいし、

 

勝又も、

このような感じでたろうに対して絞っている。おいそれとは出なさそうだ。

 

弱い部分の選択を先延ばしにして、ネックが解消される可能性を上げる選択だった。

 

結果は…

次のツモで、弱い部分が補強されることとなった。打。そして、

が、唯一すぐ出る形の黒沢のところへ。

魚谷はポンして、

ではなくを切った。

次にをツモって…

ここでもツモ切り。は切らない。ここも本人に聞いてみよう。

 

魚谷をなるべく引っ張ることで、待ちをぼかしたかったのです』

 

なるほど、すでに切ってあるをしばらく経ってから切ることで、からを引いての打というスライドに見せるのが狙いだったのだ。自体も安全度の高い牌だし、この手は8000点の勝負手。出来ることはすべてやってアガリに結び付けようという貪欲さを感じる。


結局先にが埋まったが、このような工夫はいつか必ず実を結ぶものである。

 

ちなみに、放送中のコメントでこの打を「三色の見落としだ」と批判する声が多かったが、三色があることは当人も分かっている。(念のため確認済)

 

は7巡目に通した牌で、はション牌だ。たろうにトイトイの線も残っているのでわざわざを切る必要もない。またを切ることで自身の河も少し弱くなってしまう。そして、

どのみち、このように状況に応じて三色を崩していく手牌だ。もともと満貫ある手だし、現状のリードもある。たった1枚のにこだわるより安全を追う方がいい。

 

結果は…

魚谷の一人テンパイ。アガリこそできなかったが判断と技術が光る1局だった。

 

テーマ3 中盤の守備意識

 

今見たように技術面も充実し、今年タイトルを次々獲得してきた魚谷も、Mリーグの舞台では葛藤していた。

 

魚谷『私、ブクブクに受けつつ相手に通りそうなターツを残す打ち方してきたんだけど、あまりにもみんなが安牌持つから真似してみたり色々してる…あと、みんなが手順間違えないからなのか、自分の想定より三巡くらいテンパイが早い…』

 

これは先日、私と魚谷がツイッターでやりとりしていたときの魚谷の言葉を抜粋したものである。思えば、赤アリ麻雀で超一線級同士が当たるなんてことはこれまでなかっただろう。多かれ少なかれ、各選手が「自分の赤アリ麻雀観」を変えねばならなかったと想像する。

 

魚谷は、対戦相手の手組速度が速いことに対して、中盤での対応を試行錯誤していたのだ。

 

この頃の悩みが徐々に自分の感覚としてフィットしてきたのだろう、今日は中盤の守備意識が垣間見えた。

 

南1局

ここでは、たろうがホンイツで2副露したのでリーチに行きづらくなったことと、上家の黒沢がを手出ししたのでが危険と判断できたことから、を先打ちして安全度の高いに持ち替えている。

 

南2局

親だけれども、MAXに受けずに打として東を守備駒として残す。前巡にトイツからを1枚外しているのも、次巡このように連打して安全牌を抱えるスペースを作る準備だ。

その2巡後、

789もあるが、11巡目でリャンシャンテン。貴重な安全牌のは手の内にしっかりキープ。

 

ストレートに組んできた手牌の意識を変えるのは大変なことだろう。悩みながらも、魚谷は対応してきたという印象だ。

 

さぁ今日こそトップがとれるか…

 

と、この記事最後の焦点の1局に行く前に。この半荘は2つほどアクシデントがあった。

 

まずは、東1局の親番で黒沢が少牌。

これでMリーグ全体として2件目。起こってしまったものはしょうがないので、少牌の認識を、

 

『そうそう起こらないこと』から『よく起こるので万全の注意を払うべきこと』

 

に変えて、プレイヤー全体で周知徹底してほしいというのが私の感想だ。やはり1局ねじれてしまうのは少なからず興が醒めてしまう。

 

そして、もう一つ、

『対局室が寒いんですけれど、どうにかなりませんか』

 

魚谷からの「寒いコール」である。選手が試合中に言うのはよっぽどだと思うし、対局室が寒くて風邪を引いてしまっては大変だ。半袖だからとかそういうレベルではなかったようだし、これから本格的な冬到来。常に対局室の空調は同じ温度設定にした方がいいと感じる。

 

とりあえず、運営からの「これ以上は…」という返事はさすがに暖房完備の施設なら無理筋だと思うのだが、どうだろうか?

 

テーマ4  焦点の1局(その2)

 

南3局

2着目勝又の親番で、魚谷得意の手が入る。

役牌トイツの仕掛けていける軽い手だ。当然は1鳴き。

3巡目には、

をチーして、

。序盤の役牌トイツはお手の物、電光石火のカンテンパイ。

このまま魚谷が目的地まで泳ぎ切るかと思われたが、立ちはだかったのは冷気を浴びて狂暴化したアザラシ…こと勝又だった。

なんと魚谷のアガリ牌をアンコにしてのリーチ。は5枚生き。対してはもう山には無い。絶体絶命だ。


まずつかんだのは。現物のを切ってシャンポン待ちに。しかし、は2枚切れでは残り1枚。これも苦しい…

次にを引いて…

歯を食いしばって打。マンズの連続形を残しながらカンにとった。これは3枚山にいるが…

たろうの次のツモが

黒沢の次のツモも! おい!減りすぎやろ!!思わず私は声を荒げてしまった。

そんな中、次に魚谷がつかんだのは…

アタリ牌の。どうする…

ここも冷静にまわって、付近の引きもどしを狙う。の両方が現物になったのが大きい。次にツモったのは…

単騎テンパイ。くるくると方向を変えながら人魚は必死に泳ぎ続ける。

 

山には1枚、3枚。まだかなり残っている。

 

アガリ牌の行方は…

 

「ツモ」

女神は人魚に微笑んだ。

アザラシも狂暴化が解けてこの表情。

 

幾多のルート選択を経て、最大の難所を越えた人魚。

 

迎えたオーラス。

そこには美しい楽園が広がっていた。さらに8000点を上乗せしての大トップだ。

 

魚谷本人もツイートで少し触れていたが、連闘した日は勝ちたい気持ちが強すぎたせいで、正直フォームが崩れて前のめりになってしまっていたと思う。しかし、日を改めて、髪型も変えたこの対局、持ち前の美しいフォームは最後まで乱れることがなかった。

インタビューで、冒頭で紹介した『志願に関してのネガティブな感情』を説明してくれた魚谷。

自信が無くなった魚谷は、

「私はしばらく休んだ方がいいんじゃないでしょうか」

と申し出たらしい。それをはねのけた監督、火曜日と木曜日に1試合ずつ出るよう魚谷に告げたそうだ。すると、魚谷は

「それなら一日に強い思いを込めて打ちたいので、火曜日に連闘させてください」

と言ったのが、志願までの経緯のようだ。

 

私は笑ってしまった。

 

弱ってるときでさえ、「それなら連闘で」そう言えるゆーみんは紛れもなく鉄メンタルの勝負師だよ。さすがだな、やっぱり。

 

セガサミーフェニックスのエース、完全復活。

 

…あ、一つインタビューをとり上げるの忘れていました。

 

質問「今日の髪形、アンケートとってましたが、最初からおろした髪型にしたかったのではないですか?」

 

魚谷ツインテールとおろしたのが票数が多く、Mリーグの過去映像をみて、周り暗くて顔以外あんまり映らないからわざわざ炎上芸のためにツインテールにする必要ないなと思ったのと、』

 

…お、おぅ。

 

魚谷『ポイントプラスになったときにとっておきたかったからです。ポイントプラスになったら「もう炎上しろぉ!」の覚悟でツインテールやります!』

 

…いや、そこは勝負しなくていいと思うよ。

 

ゆうせー
京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。

(C)AbemaTV

 

 

近代麻雀戦術シリーズ新刊情報

「麻雀強者の0秒思考」

著:ZERO

12月15日発売!!!!

Amazonでの予約はこちら→「麻雀強者の0秒思考」