これをチーして、ずっと切れなかったを勝負。
チートイだとして、よりよさそう(もしくは同等)な待ちはとしかない。
超危険牌ということは痛いくらいわかっているが、チートイと断定はできない上、自分がテンパイなら見合う…ということだろう。
九種九牌から、さらに出来メンツを抜いた後に鳴き返してたどり着いた、珠玉のテンパイ。
流局して、親権を維持した。
しかし、私が一番驚いたのは次の一局だ。
この奇跡的なテンパイ劇を受けたあとだ、「流れ」を重んじる瀬戸熊からしたら「俺のターン!」と思っているのではないか。
そう思いながら見ていた7巡目、瀬戸熊は
役なしだがテンパイを果たす。
状況を言うと、魚谷がを赤含みでポンしている。
また、小林が第一打にドラのを打ち、それに合わせるようには3枚切られてしまった。
——普通なら…リーチといくのではないだろうか。
仕掛けている魚谷をはじめ、子の3人に対して牽制し、とりあえず足を止めたい。
そう考えるのが、そう普通だ。
を鳴きたかったのか、とにかく瀬戸熊はダマったのだった。
次に
をツモってテンパイ外し。打。
そうこうしているうちに、軍師・勝又からリーチが入る。
これは勝又のイーシャンテンでの選択が素晴らしかった。
勝又はこのイーシャンテンから、なんとを切ったのだ。
普通はペンチャンを払う手牌だ。
この選択にも弱いながら理由が3つある。
・シャボ待ちになった際、が筋になりいい待ちになる。
・ほんのりソウズの場況と安全度が良い。
・を切ってもツモはロスにならず、そういう意味では直接的ロスはだけで、それはも変わらない。
その選択がズバリハマり、強いリーチを打ったのだ。
しかし、私が目を疑ったのは、それを受けた瀬戸熊の選択である。
をツモってきた場面。
点棒状況をみてもらっての通り、瀬戸熊は3着目だ。
もう一度繰り返して言うと、
ラス前、瀬戸熊は3着目の親で、勝又はラス目だ。
なんで…
この場面で…
我慢ができるんだ。
瀬戸熊は表情を変えないまま、現物のを抜いた。
ドラも見えているなら、放銃しても安いことは多い。私は押した方が良いと思っているが、実際の損得はわからない。それ以前にリーチを打っていると思う。
そういう話ではなく、会心のテンパイでしがみつくように連荘した、最後の親だ。
なぜいとも簡単にオリることができる…?
チーム戦だからか。
クマクマスイッチが入っていないとみたか。
瀬戸熊は、多くを語らない。
対局前は、雑念が入らないように誰とも話さないそうだ。
性格が優しいだけに、話しかけられると答えてしまうし、スタッフがいると気を遣ってしまう。そうして対局に影響が出てしまってはよくない。
よく「人生を賭けた」という表現を使うプロがいるが、数%くらいは「でも麻雀だし」という気持ちがあるはずだ。しかし修行僧のような瀬戸熊は、全身全霊で目の前の麻雀に対し「人生を賭けて」勝負しているのだ。
結局、このオリが奏功したわけではないが、瀬戸熊は3着を死守した。
そして、トップはオーラスの親でマンガンをアガった勝又の元に転がり込んだ。
それにしても…
強烈すぎるだった。
最後の最後に。
そんな中、少し心配なのが魚谷侑未だ。
魚谷は東1局の3巡目に
ドラ